木曜日から東京に出張をしていたのですが、その間の「ADP雇用統計」を受けての目に余る楽観報道に相当な懸念をしていたものです。
ただ、この「雇用統計」をたった1年や3年みて、わかったなどという人も相当いますが、明らかに経験不足だと思いますし、また報道の専門家の意見を聞いて大丈夫だろう、と思った方も多いはずです。
もし、今回の「雇用統計」をみて、サプライズな結果と思うのであれば、それはあなたの考え方が間違っていた証拠です。私からみれば、期待しすぎ、と、ただ、思うのです。
何も決められないトランプ政権
何も決められない、トランプ政権というのは日本ではいつかどこかで通った道です。そう、大衆に迎合し、耳障りのいい政策を選挙前に打ち出して、結局、何もできなかった日本の政党があります。
同じようになってきたな、と思います。以前も書きましたように、今回のサミットは何も決まらないのと一緒です。おそらく、トランプは、自由貿易を堅持するためにドル安を各国首脳に呑ませているとは思います。そうでなければ、トランプは自由貿易の推進を声明文に掲載させるわけがありません。
そしてパリ協定の離脱。パリ協定の離脱ということは、アメリカが将来の宝を自らの手で放棄したといっても過言ではないでしょう。本人は、アメリカに有利な条件で協定を発効することを目論んでいるのでしょうが、果たしてそんなにうまくいくものでしょうか?
この環境問題の予算を大幅に削減し、そしてその科学開発の研究資金も大幅にカットして設備投資が隆盛になるのでしょうか?将来は莫大な利益をもたらすことが確実視される環境問題、パリ協定は、まさしく宝の山であると思います。その先頭を走っているのがアメリカになります。
この設備投資は1年先や3年先をメドに資金回収できるものではなくおそらく10年先、30年先を見て投資をするべきものだと考えれば、現在のアメリカの長期金利の低迷は納得できるものです。
目先のトランプ政権を好意的にマーケットは、受け取っていると思いますが、長期のアメリカ経済の行方には疑問を呈さざるを得ません。何も決められない、アメリカ、決められるのは周囲の国に迷惑をかけることだけ、誰がこんな国を信用するのでしょうか?
イギリスも目先は経済成長しますが、EUを裏切った代償は必ず、どこかで払わされることを忘れてはならない、と思います。
アメリカ経済、問題の根幹は長期金利
これは、「イエレン議長」も数年前からこの件に対して、深い疑義をもっており、イールドカーブコントロール等を行っていますが、全く状況は改善しないという状態です。そもそも長期金利が上昇しないのは、需給の面でいえば、完全に需要不足になります。
アメリカ政府は減税もインフラ投資も当面の間、決定をしませんでしょう。最大の資金需要がないのですから、利上げ前より利上げ後のほうが、住宅ローン金利が低いなんて常識では考えられないことが起こっています。
またドル建てで借金をする新興国からの新規需要もないと思われます。そういった中でアメリカのベンチャーがIPOを行わない傾向というのは、それに拍車をかけている状況です。
こうした、状況に、今まで、私はアメリカ経済が盤石と言っておりましたが、一時的なトランプ不況になるのではないか、ないしは世界的なトランプ不況になるのではないか、という懸念を抱いています。
日本のポピュリズムの権化である、あの政党の政権時に日本経済がどうなったか、そのときに何も決められない政治と散々、揶揄されたものです。その上に、東日本大震災と踏んだり、蹴ったりの状況でした。
そういう意味では現在の東京都も同じです。それで、また騙されてあのばばぁが大躍進なんてなれば、都民は何も反省していないのでしょうね。ばばぁは言いすぎでしょうが、なんでさっさと決めないのか不思議に思います。
今は好況、好況と騒ぐが・・・
個人的には、6月の利上げも怪しいと考えております。あまりの楽観論に、人為的な利上げを行わないという決定がなされた場合、マーケットはどうなるのでしょうか?
また、世論調査が全く、当てにならないイギリスの総選挙など、もどうなるのでしょうか?秋以降に言われる、秋に株を買って、春に売る、という格言はどうなのでしょうか?セルインメイ、を今年は無事通過なんて報道はのんきに言っていますが、果たして本当でしょうか?
秋にあがる見込みがない、株を誰が保有するのでしょうか?言葉の意味を理解していないから、そういうことを平気で報道できるのだと思います。株価は何年先のことまで織り込んでいるのでしょうか?
将来が不安だらけであんなに上がるわけないでしょう。こういうのを実態のない、経済上昇、つまり、バブルというのです。バブルの定義は難しいですが、実態がない、ことは確かでしょう。
アメリカ経済は、現時点では好調だと思いますが、長期的には不安だらけです。しかも政治リスクなんて、何を考えているのだか・・・
(この記事を書いた人:角野 實)