ここのところ選挙戦で力を盛り返してきているドイツのメルケル首相は、ベルリンの学校訪問でなぜか学生たちを相手にしてユーロが弱すぎという見解を示し、ユーロ相場と原油安がドイツの「貿易収支」を黒字にしている一因だと語っています。
これをうけて為替相場は大きくユーロの買戻しに拍車がかかった状態でユーロはロンドンタイムかニューヨークタイムにかけて大きく買われ1.12台中盤まで値を戻す形となっています。
そうでなくてもここのところ強さを発揮しているユーロはここから当分堅調なうごきになることが予想され、足元ではユーロが旬な為替相場の通貨となりつつあります。
ユーロは本格的な戻りを試す展開になりそう
どうも5月に入ってからユーロの動きがこれまでと変わってきた印象が非常に強くなっていますが、支援材料も次々登場するようで、夏にかけてはこの動きが強くなりそうな気配です。
トランプのロシアゲート問題はメディアの追及のタマが切れると大きな下げは出なくなりますが、戻りも鈍く完全に収まった状況ではないことから為替市場全体がユーロに逃げる動きをはじめていることはどうやらかなり明確なようで、ここからどこまでユーロが戻すことになるのかが注目されます。
チャートを見ていてもユーロドルは非常にわかりやすい動きをしており、チャートも綺麗なものとなっています。
ドル円には明確な方向感が無くなった状態
一方ドル円のほうは週明けも大きな下げは免れているもののチャートには方向感がなく、積極的に売買してもほとんど儲けがでない状況が先週の19日以来継続中です。
今週はFOMCの議事録公表とコミー前FBI長官の公聴会登場が大きなポイントになってきていますが、一定の戻りを示現したとしてもここからは大きな上昇が期待できず、しかもドル円については市場の関心が極めて薄くなってきていることから明確な方向感のでない膠着相場が当分続くものと見られます。
ロシアゲートの問題もメディアの集中攻撃と新たなネタが登場すると相場は敏感に反応しますが、話に進展があるわけではなく、タマ切れになると相場は一息ついて戻るという動きを繰り返しています。
トランプリスクのおかげでかなりの資金が米国の債券に流れ込んだことは確かなようで10年債金利はさらに下落をした状況で6月の利上げを前にしても上昇が見込まれないまま推移しています。
トランプはこの先辞任することになるのか弾劾に直面するのか、はたまた無罪放免として政権を継続するのかはまったく判りませんが、少なくとも市場は結果がどういうことになるにせよ積極的にドルを買いたいとは全く思っていないようでドルインデックスも下げが鮮明になってきています。
引き続きドル円で売買をするトレーダーは多いことと思いますが、少なくともドル円はここから大きく戻るとは思えない状況で、113円レベルまで回復してもまた売り場がやってきそうな状況です。
なによりここからは日柄調整であまり動かないままになってしまう可能性も考えておく必要がありそうで、できることならばユーロドルのように動く通貨を選択することのほうがトレードはやりやすそうです。
ただ、ユーロ円はユーロドルに追随する動きにはなっていますがドル円の停滞に上伸を阻まれる可能性が高く、同じユーロで勝負をするならばユーロドルのほうがかなりわかりやすい通貨ペアになってきているといえます。
為替市場全体の流れは穏やかに変化しつつあるようですので、あくまで旬の通貨を中心に売買することで少しでもご利益にあずかれるようにしていきたいところです。
動かない通貨ペアはせっかく時間を費やしても得られる利益は非常に限られてしまいます。取引に一定の効率を求めるならばこのあたりもよく考えていく必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)