先週の為替相場はドル円の大幅下落に目をとられがちでしたが、ここへきてユーロが本格的に上昇を開始してきており、ここ1年以上長きにわたって停滞してきたレンジ相場からいよいよ抜け出しそうな気配となっていいます。
ユーロ圏にもリスクが残るがユーロが上昇しはじめた訳
市場では「マクロンラリー」がまだ続いているからユーロが上昇しているといった単純な見方もでていますが、ユーロ上昇はトランプのロシアゲート報道が出る前から始まってきており、すべてがトランプ起因というわけでもないことがわかります。
ひとつは米国の株式市場がかなりいいところまで来ており、今後6月に「
FRB」が「
FOMC」において利上げを行った場合、株式相場が耐え切れなくなって大きな調整となるリスクを投資資金が感じ取り始めている可能性が高いといえます。
モルガンスタンレーも興味深いレポートを開示
「モルガンスタンレー」が顧客向けに発行しているレポートによると、今年に入ってから金融市場の資産間の相関性が急激に低下しているということで、こうした状況はこれまでも景気のサイクルが最終局面に達した段階でこうした個別に資産が動き出す状況が高まることを指摘しています。
いよいよ米国の株式市場中心に上げを牽引してきた相場が終焉に向かっていることを示唆しており、多くの欧米の投資家もこの状況を敏感に感じ取っている可能性が高く、そろそろ米国市場から欧州へ投資資金が移行しはじめる動き現実化しているとも考えられるわけです。
投資資金というのは想像市場に怖がりですから、米国市場にリスクを感じることになれば一斉に動きを加速することにもなりかねません。こうなるとユーロの上昇はかならずしも一過性のものではなく、ここからもかなり継続する可能性が高くなりそうな状況です。
もちろんユーロ円を視野にいれた取引もありそうですが、ドル円が停滞するなかではユーロ円はユーロドルほど顕著な動きにならないことも考えられ、通貨ペアの選択には注意が必要です。
ここからの相場の主役はユーロの可能性大
こうなると5月後半からはユーロが相場の主役となる可能性がかなり高くなりそうです。もちろんこの先フランスの総選挙や「BREXIT」のその後など気になる材料は多いのも事実ですが、米国の金融市場からの一定の資金の逃避が目的でユーロに買い戻しが入っているとすれば、その動きはまだまだ継続する可能性がある点には注意が必要です。
さらにドル円はユーロ主体、かつ資金の米国からの逃避となったときには、通常のリスク回避ではないことから円が積極的に買われるということも期待しにくく、この動きのなかではドル円は方向感のない時間を過ごすことも十分に考えられる状況です。
現状の動きからみればこの先ユーロは対ドルで1.15レベルまで戻りを試すことも十分に考えられそうで、とくにユーロは動きはじめればかなりダイナミックな挙動となることが期待されることから、押し目があれば買ってみるのも一つの考え方となります。
これまでユーロの場合トレンドを伴って激しく動くときには年間で3500ポイント程度の上下を示現させてきていますから、ここからしっかり上昇トレンドにのることになれば、応分の利益を期待することができそうです。
何が為替相場の旬の通貨なのかを見抜くことが必要
年間で為替相場を見てみますと、やはり旬の通貨というものが時々に存在することがわかります。
今年は前半についてはかなりドル円が動くことになりましたが、ここへきてその主役は交代しつつある感が強まっています。やはりそれぞれの相場状況の変化の中で、もっともトレードをしやすい通貨ペアを選択することが利益を確実にあげる大きなポイントになることは言うまでもありません。
この時期ユーロドルを中心に相場の取引を組み立ててみるのもひとつの考え方です。これならばトランプの妙なリスクにとらわれずに売買を続けることが可能になりそうです。