FX相場というのは、”上がるか下がるか”だけの単純な相場ですから、多くの個人投資家はこの先どうなるのかを常に知りたくて知りたくて仕方ない気分で日々情報を検索する状況にあります。
そこで少なからずこうした個人投資家に大きな影響を与えることになるのが、FXアナリストや金融、証券関連のエコノミストの予測発言ということになります。
いわゆるテクニカルをベースとして見通しを語るアナリストの発言をあまり真に受けすぎるのは、結局儲からないことになってしまうことを最近特に強く感じる次第で、個人投資家はこうした人たちの見通しは逆に目にしないほうがよろしいのではないか。とさえ思う今日この頃です。
上がる下がるを予測されても日時の特定がなければ全く意味なし
直近の相場状況でいいますと、114円をいきなり超えてきたドル円をみて多くのアナリストが「115.500円を超える」というかなり楽観的な予測をはじめており、人によっては「120円が見えてきた」などと口走る向きも現れる始末です。
チャート予測の性格上、一定のレジスタンスラインを超えて動き始めれば次の抵抗線のラインまで上昇すると予測する向きが多いことから、上がれば躊躇なく楽観論になり大きく下がればさらに下がると途端に悲観論を唱える向きが異常に増えるのがひとつの特徴ですが、正直そんな話を聴いてもなんの足しにもならないというのがここのところ自分でトレードをしてみての強い感想となります。
もちろんあくまで予測に過ぎない訳ですから、それを信じるも信じないも情報を受けとる個人投資家次第ということになるわけですが、私は少なくとも115円であろうが120円であろうがそれが示現する時期が同時に示唆されていないかぎりほとんど意味のある予測だとは思っていません。
年末までに120円になるという予想が当たっても、その前に100円になってからでは殆ど予想としては当たったことにはらなないからです。
結局相場に絶対など存在しない
日本の連休明けの5月8日の週は確かに二回ほど「114.300円超」のレベルまですんなり相場が上昇することとなりましたが、テクニカル的に見てここから115.500円まで到達しそうであるといくらチャーティストに熱く予想していただいても、それが週内におきるのか、2週間以内におきるのかが判らなければ殆ど意味はありません。
端的に言えば「その程度の情報を知ってもほとんど役に立たない」と感じています。
多くのチャーティストはあくまでチャートからみた予測なので”いつということはいえない”と口をそろえますが、正直なところ、妙な先入観だけをもつことになってしまうこうした予測はかえって一切見ないほうがいいのではないかとさえ思う今日この頃です。
為替相場には実に様々な材料が持ち込まれることになりますから、先のことなど誰にもわからないというのが正直なところです。ですから「ファンダメンタルズ」の様々な情報をできるだけ多くの方にご提供して、そこから先は自己判断でその材料をどう利用するかを考えていただきたいと思っているのです。
プロを自認するアナリストと個人投資家がとれる情報に差がなくなっている
特に最近強く感じるのは、個人投資家とプロを自認するアナリストが収集できる情報にほとんど差がなくなってきているということです。
国内の新聞などだけ読んでいたのではほとんど何の情報も取れませんが、海外の主要なメディや要人の発言などはネットの普及でほとんど個人と業界のプロとの間に差はなくなってきており、それこそチャートの見立てに多少の経験値による差が生まれる程度で、結局のところ先のことは誰にもわからないのが実情であることを非常に強く感じます。
したがって特定のアナリストが言っているからということで売買する仕方ほど成果の出ないものはないのではないかとも思い始めています。相場の見方という視点は参考にしても、やはり最後は自己判断でどうするかを決めることがもっとも重要なのです。
(この記事を書いた人:今市太郎)