日本にいるとどうも実情がよくわからないトランプによるFBIコミー長官の解任劇ですが、これまでの様々のエキセントリックな発言とは大きく異なり、大統領自身の疑惑に係わる問題とリンクする捜査責任者の解任だけに、どうもこのままでは終わらなさそうな状況になりつつあり、まさかのテールリスクとしてドルを扱う取引をするトレーダーにとっては相当な注意が必要になりつつあるようです。
本邦メディアの森友問題とは比較にならない米国メディアの追求
国内でも総理大臣とその妻が不可思議な学校法人と係わる疑惑の事件が起きていますが、本邦メディアはほとんど追求を行わずうやむやのうちに幕引きになりそうな状況となっていますが、今回の米国における政権のFBI長官電撃解任は時間が経てばうやむやになるような問題ではないようで、ますます大きくクローズアップされる様相を呈しています。
ワイドショーではないのでことの一部始終を細かく書くつもりはありませんが、この問題のポイントは、ロシア疑惑に関して大統領に司直の手が及ぶのを回避するために解任せざるを得なかった事情があるのではないかということで、長官を解任しただけではこの問題に決着が付かない可能性が高まっているというこです。
誰が見てもトランプに不利になる何かが発覚しかかっているからこうした対応をとらざるを得なかったと思われるのは当然のことで、火のあるところに煙がたって結局これまで知られてこなかった問題が表面化する可能性がかなり高まっている点は相当な注意が必要になりつつあります。
ロシアゲートの問題を打ち消すために北朝鮮攻めという噂も
一説には、このロシアゲート問題からできる限り関心の目をそらすために、北朝鮮攻めを本格的にやらかすのではないかなどといった憶測も飛び交いはじめているようですが、ここでもひとつ問題になるのは、北朝鮮の後ろ盾としてロシアの姿が見え隠れすることです。
目くらましにはじめた北朝鮮攻めが思わぬところでロシアにつながる可能性を指摘する向きも出始めていることから、こちらもかなり微妙な情勢になっているようです。
いずれにしてもこのままではさらに疑惑が深まる可能性は高く、さらに大きな問題に発展する可能性も高まってきていることは事実で、市場がまったく織り込んでいない状況が示現するリスクもかなり高まってきているようです。
トランプ辞任や弾劾といったまさかの事態も
Photo Reuters
こうした問題を目の当たりにするにつけ思い出されるのが、その昔のニクソン大統領の「ウォーターゲート事件」です。
結局ニクソンは弾劾の問題に引っかかる前に辞任という道を選択したわけですが、今回トランプが状況をこじらせて辞任に追い込まれた場合、なんと就任から1年持たないなどという驚愕の事態になるわけですから、かなりドルが売られ政治的リスクオフが展開する可能性が高まりそうです。
さすがにこの手の問題ともなりますと、どのスパンで決定的な問題が表面化するのか、あるいはどこまで深刻な内容が示現するのかまったくわかりませんから、事実上手の打ちようがないのが実際のところということになります。
しかし、問題が明確に表面化し市場が嫌気すればトランプ当選時の101円レベルまでドル円が巻き戻ってしまうことも予想されるだけに、足元でテーマを失っている為替市場にとってはかなりインパクトのあるネタに浮上することが予想されます。
この段階ではどういう疑惑が強まるのかはまだまったくよくわかりませんが、ここ数週間の米国でのこの件に関する報道については相当注意してチェックすることが必要になりそうです。
政治ネタで為替の売買をするというのもかなり難しいものですが、トランプに関してはかなりの激震が予想されるだけに少なくとも巻き込まれて大損することだけは避けたいところです。