戻り売りの踏み上げ相場から月曜のNYタイムに113円台に突入したドル円は、さらその後翌日の東京タイムでも大きな調整なく上昇し、さらに9日のNYタイムでは114.300円レベルまで上昇する勢いとなっています。
確かに6月利上げがすでに確定的ということもありますし、フランスの大統領選がリスクなく決着したこともあって為替相場は「リスクオン」となっていますからドルが買われる展開になっているのはよくわかりますが、それにしてもここまでドル円が短時間に上昇するとはちょっと想定していなかった展開ということができます。
NYタイム入りからのチャートを見ても延々と上げ続けていますので、逆張りで売った向きが確実に踏み上げられているのがわかります。為替相場というのは往々にして「オーバーシュート」気味に動くものですから、仕方ないといえばそれまでですが、この上昇が一体どこまで続くのかは非常に興味のあるところです。
すでにいい線まで上がったといえばそうも見える状況で、ドル円だけが大きく上伸するほどの材料もないだけに相場にどこまで着いていくかが大きな課題となります。
こうなると115円台突入も時間の問題のように見えますが、ゴールデンウイーク中にリーブオーダーをつけられなかった輸出の「実需」もいよいよお出ましになることから、すぐに115円台まで突入するかどうかはもう少し様子を見なくてはならないようです。
また米国サイドが為替に余分な発言をしてくると様子が変わることもありますので、かなり用心しながら上値を追っていく必要がでてきそうです。
今回のドル円の上昇は我慢できない機関投資家の買いとの見方も
112円台後半からほぼ休みなく買いあがった感のあるドル円ですが、一説には生保などの機関投資家が連休の下値で買えなかったことから我慢できずに112円台から買いを入れてきたことが大きな要因ではないかとの見方も広がっています。
ただ、これが本当だとすれば一定のフローが出てしまうとあとが続かない可能性もあることから、足元の流れで一段上まで上昇することを期待していると取り残されるリスクがあることは意識しておくべきでしょう。
また投機筋の買いの場合には当然どこかで反対売買がでることが予想されますので未来永劫に上昇すると想定するのは危険です。
ドルインデックス上昇の兆しにも注意が必要
足元でもうひとつ気になるのが「ドルインデックス」が久々に上昇しようとする動きです。
上昇トレンドがでたというほど大げさなものではありませんが、ユーロドルの材料出尽くしによる下落に起因してドルインデックスが上昇に転じ始めようとしており、ドルストレートが強くなりますと、これまでのように円安とクロス円の上昇に支えられたドル円の動きが阻害される可能性もでてきそうです。
つまりほかのドルストレートは上昇してもドル円だけ上値を抑えられる動きになることにも注意が必要です。
実際豪ドル円などはこうした動きになってきていますし、ユーロ円にこれに準ずる動きがでた場合にはドル円の上昇が抑えられる要因になりやすいことだけは間違いありません。
足元の相場は円が中心に名って動いているようには見えませんので、ほかの通貨ペアの影響を受けないか十分にチェックしながら売買を進めていきたいところです。ある程度利益がとれたらしっかりリカクしながら相場の上昇についていくといった方法がリスクの少ない売買になりそうで、ドル円はまだ幅の広いレンジ相場の中を動いている可能性も捨て切れません。
週明けのユーロ円の上昇などはあきらかにやりすぎ感満載であり、こうした過度な動きに調整がでるとドル円も簡単に巻き込まれることになりますから、過信は禁物です。
(この記事を書いた人:今市太郎)