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3月の「雇用統計」は、予想を覆すような低水準でありました。この要因というのは年明けから設備投資が低迷していることから、設備投資というのは新規の事業立ち上げという意味をも含むために、新規の雇用が減ったということが一般的には言われています。
個人的にはこの説明には納得がいっていませんが、冬場に景気が減速することはいつものことです。
例年、アメリカの冬場の景気は低迷するのですが、例年ということは、過去にもこういう年があったということになります。今回は過去の事例を含めて、今後の展開を考えてまいりたいと思います。
過去の直近の例は、2015年
2015年もやはり3月の「雇用統計」が低かった年にもなります。年明けに日本、アメリカのメディアはアメリカの景気は絶好調と騒ぎまくり、そして、3月や4月にサプライズの利上げがあるのではないか？と、散々、あおった年になります。
この年に私もこのサイトに寄稿をしていると思いますが、あのときの印象は、日米ともにメディアは本当に酷い状況でした。とにかく、「イエレン議長」が、アメリカの1-3月期の成長率はあまりよくないと思うと発言をしているのに、やれ、3月、4月に利上げだ、と騒いでいたのです。
「イエレン議長」確か、2月だったと思いますが、アメリカのドルが高すぎる、とけん制発言をしていたのですが、日本のメディアは円安、円安と騒ぎ続けていたものに、苦笑をしていたものです。
今年、2017年もトランプさんが4月に入り「ドルは高すぎる」とけん制発言をしています。はっきりいえば、状況は同じで、1-3月期にやはりアメリカ経済が失速をしているからこういう発言が出るのです。
ここから言えることは、高官の発言、特に通貨に関するものが出たときには、その背景をよく調べないといけない、ということがわかったと思います。
国際合意に基づき、為替相場に関して、政府高官が発言をすることはいけないこと、と当の本人たちもわかっているのに、なぜ、そのような発言をするのかは必ず意味があるものです。
たとえば、先日の貿易不均衡を前提にした、鉄鋼製品の関税報復にしても、結局はアメリカの経済がよくない、ということを発信しているのです。その結果、先日、お話をした通り、成長率がアメリカ<日本になり、為替は円安に向かったのです。
2015年に為替相場はどうなったか？
2015年を振り返ってみると、その前年に日本銀行が追加緩和を10月に行い、その前にアメリカ「ＦＲＢ」が「ＱＥ」の拡大を停止しているのです。つまり量的緩和、「ＱＥ」の拡大停止と冬場のアメリカ経済が失速をしたので、ゴールデンウィーク明けの相場が急落をしたのです。
毎年、ゴールデンウィーク明けに相場が失速することが多いのは、4月末にアメリカ1-3月の「ＧＤＰ」速報値が発表されるからになります。
今年も、0.7、2015年も1パーセント以下の成長だったと記憶しています。ですから、状況はほぼ一緒といってもよいでしょう。ただ、今後の展開に関しては、似たような相場になるとは考えていません。
2015年はその前年に行われた、日本銀行の追加緩和によって、株価が急騰していました。ですが、実際、物価は、下がり続けた、つまり、日本の成長は低成長なはずなのに株価は上昇しづけたのです。
これを私は「アベノミクスバブル」と呼んだのですが、同調する方は誰もいません。笑。
その後、2015年末に、アメリカがゼロ金利を解除して、株価や為替が急落した、これが2016年の相場だったのです。この2015年の間、ずっと、アメリカはアメリカ<日本が続いたので円安基調になったのです。
年末にかけて持ち直して、その9-12月期の「ＧＤＰ」速報値は1月末になるのですから、それでアメリカ>日本が確認され、円高がさらに進行しただけの話になります。
2017年はどうなるか？
麻生財務大臣が「日本の景気がいい」と喝破をしましたが、これは2015年と同じ状況です。要するに、アメリカの経済失速によってアメリカ<日本になると、日本の景気がよくなったような気がするだけの話なのに、景気がよくなってしまう、と言うのですからどうしようもないと言えばどうしようもありません。
経済通の大臣と言われる彼がこのレベルなのですから、どうしようもない、ということです。日本とアメリカの成長率の話をすると、1-3月期はアメリカ<日本になりましたが、4-6月期はアメリカ>日本になると思います。
つまり、巷で専門家と称するアナリストが120円とか騒いでいますが、120円になるためには、日本の成長が8パーセント以上にならないと無理です。その数字の根拠の背景になる数字や材料は全くありません。結局は態勢的な流れは円高ということでしょう。
（この記事を書いた人：角野 實）
