2日東京タイムの為替市場はさすがに連休の合間ということもあり、大きな動きは感じられませんでしたが、それでもじりじりと値を上げて112円台に突入することとなりました。
112円をつけたからといって大きく走る動きも見せませんでしたが、下落も限定的でNYタイムの終盤から下げて112円割れを見る形になっていますが、まだまだ切れていないショートが多数残されているようで、もう一段上昇しないことにはこうしたショートも切れていかない状況です。
下方向より上方向に注意の連休相場
ドル円は「じり高」がずっと続くという相場がよく見られますが、足元の状況もいつもながらの光景で112円手前でかなりショートにした輩のポジションが持ち上げられてストップロスをつけたことから、112.300円レベルまで静かに上昇する動きとなっています。
例年、ドル円はゴールデンウィーク中は下押しに警戒感が強まるわけですが、こうした相場状況では一旦上に持ち上げられる可能性がかなり高くなりそうで注意が必要になりそうです。
また休みの期間中110円台後半などに大量にセットされていると思われる機関投資家や輸入の「実需」のリーブオーダーがこの期間中にまったくつかないことになると、休み明けに買いが入ってさらにドル円を押し上げる可能性があり、下値を模索するのは一層難しくなりそうです。
足元では一旦2.2%台にまで下落している米国の10年債金利ですが、長期から短期に至るまで再上昇傾向が見られ、この金利が上昇すれば、4月に入って売りから買いに大きくドテンしたと見られる投機筋がポジションを投げるリスクも高まるだけに相場の材料だけから見るとドル円は上昇せざるを得なくなってきていることがわかります。
また3日(日本時間4日午前3時)の「FOMC」の結果6月に利上げ意向の強い声明が発表された場合、さらに金利が上昇することも考えられ、ドル円は一定の上値試しをおこなうリスクを考えておかなくてはならないようです。
今回は「イエレン議長」の記者会見はセットされていませんから、あくまで声明から方向性を読み解くことになりますが、よほど弱気な内容が出てこないかぎり、市場は6月利上げを7割がた織り込み済みであることから簡単に金利が下落する状況とも思えません。
但し金利が3%を超えると株価のクラッシュに警戒が必要
米債金利が上昇すれば確かにドル円の上昇も期待できますが、注意が必要なのは米10年債利回りが3%を超え始めると、米国の株式市場がこらえきれなくなる状況が示現することで、「FRB」の6月利上げなどの可能性が強まれば金利が一層上昇に走る可能性もかなり高まることになります。
足元では原油価格の下落が米国の債券金利を押し下げる動きになっていますが、ここからの債券利率の推移にはかなり注意が必要になりそうです。
2日には全米の自動車販売台数が各社から発表されていますが、予想以上の現象が今月も続いており、利上げの影響がじわりと高額の消費に影響を与え始めていることがみえつつあります。
やはり「米国経済は曲がり角にさしかかっている」ようで、さらなる金利の上昇が経済に与える影響も考える必要がでてき始めています。
米国の株式相場は好決算に支えられていますが、残念ながら好決算がでているのはトランプの政策とは何の関係もないハイテク領域が殆どで、初期のトランプラリーを支えた金融株は軒並み軟調という状況で、トランプ政権は必ずしも足元の経済に寄与していない点が気になるところです。
5月のこの時期の株価の状況は今後の相場の動きに非常に大きなインパクトを与えることになるだけに、為替とともに常に気にしておくことが重要になります。
(この記事を書いた人:今市太郎)