フランス大統領選の結果を受けて上伸したユーロの影響から、ユーロ円の大幅上昇に引きずられる形で110円台にまで戻したドル円でしたが、結局ドル円単体として上昇する材料に欠けたことから単なる円買いポジションの「ショートカバー」が出ただけとなりました。
ひとしきり買戻しが終わってみると「110.500円台」にさえ戻ることができずに、逆に窓埋め方向への動きへと展開してしまったことがわかります。ここからさらに窓埋めの動きを加速させるのか、もとに戻ろうとするのかが注目されます。
全体としてはかなり方向感を失っているのが足元の相場ですから、確信が持てるまでは無理して売買しないことも重要になります。
また大きく上昇したユーロ円はドル円ほどではありませんが、やはり高値を維持できずに下落して終わっており、こちらも2週間後の大統領選の最後の決着を見届けるまではここからの上伸を期待できそうもない状況です。
投機筋の売買だけでは方向感がないドル円相場
ドル円に関しては、やはり明確なフローがあって上昇しているわけではないのでここから相場がどうなるかを見極めるのは想像以上に難しくなりつつあります。
今回の上昇でずっと溜まっていたロングのしこりはかなり解消したはずですから、下げも何か材料が明確に出てこないと大きな動きにはならなさそうですが、一旦月曜日の朝空けた窓だけは埋めにいく動きとなることだけは覚悟が必要なようです。
米債のイールドカーブは持ち直しで株価はすぐに下落にはならない
一方米国の株式市場はフランスの大統領選挙の一回目結果を受けて大きく買い戻しが進んでおり、ドル円とは対象的にわかりやすい動きを示現しています。
注目される長短金利のスプレッドを示すイールドカーブは長期金利が戻していることから比較的順調な推移を見せており、いきなりここからすぐに暴落するような危機的状況にはないことがわかります。
Data FT
依然くすぶる政府機関の閉鎖問題
米国の予算案が28日に失効するため、何らかの対応がなければ29日にも一部政府機関が閉鎖する可能性が懸念材料として残されていることもドル円の上値を抑える材料になりそうです。
実際これが決定的な問題になるとはほとんど思えませんが、米国内では問題視する見方も強いことからNYタイムでは結構上値を抑える材料にもなりつつあるようです。
方向感を見据えてから売買するのもひとつの考え方
今週は米国の大型減税に関する何らかの発表もあるとされていますので、まだ相場を動かす材料は残されていますが、全体としての方向感はいまひとつよくわからなくなりつつあります。
北朝鮮についても米国が先制攻撃をする可能性がかなり低いとの見方が強まっていますから、実際の動きとしては中国が説得にあたることがもっとも可能性としては高くなりそうで、油断は禁物ですが、あまり意識しすぎても個人投資家としては手のうちようのない問題ですから、5月の連休が明けるまで一旦トレードをお休みにするというのも得策になるかも知れません。
2週間後にはフランス大統領選の最終結果も出てくることになりますので、材料一巡となると新たなテーマをめぐって5月相場がスタートすることになりますから、本邦投資家だけに与えられた休憩のいいチャンスとも考えられそうです。
この連休が明けるタイミングからは本邦の機関投資家もいよいよ動きはじめてきますので、トランプ政権に対する機関投資家の評価というものも市場に現れ始めることになります。
そういう意味でもここは無理をせずに状況を見守るという視点はかなり正解かも知れません。例年日本が祝日になる時期は投機筋から仕掛け的な売買もでてくることが多くなりますので5月3日からの連休は特にリスクが高くなります。こうしたことも含めてポジションを減らすなり手仕舞うなりの方針を決めて今週後半の取引を進めていきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)