フランス大統領選挙を前にして、テロが発生をしましたが、マーケットでは全く動揺が走っていません。
そして、アメリカではオバマケアの改正法案の提出、税制法案の発表とまさにリスクオフ・モードになりつつあります。今回は、現時点でのマーケットを観てまいりたいと思います。
リスク回避モードは完全に拭えたのか?
先日のアメリカのシリア攻撃から一気にマーケットはリスク回避モードになり、隣国、北朝鮮でもミサイル発射や核実験などの強硬から緊張感が走っています。
このような事態はトランプ大統領が政権発足から何もできないのではないのか、という観測を覆すために行っているという私の予測になりますが、過去のアメリカ政権をみても同じことをやっており、この見方は間違いないと思います。
その場合、みなさんのご記憶に新しいことはブッシュ大統領政権時のイラク戦争になると思います。あのときは、ブッシュ大統領の支持率が過去最高を記録し、その後の政権運営が非常に安定したと記憶していると思います。
トランプ大統領もこれに倣い、このシリア、北朝鮮、イラン等を刺激していると思います。しかし、現実的にはアメリカ国内の世論はこのシリア攻撃に対しても世論は非常に冷めた目でみており、支持率が急速にアップをしているとは到底、思えないようなレベルです。
過去の共和党、大統領、ブッシュ、レーガン時代には、支持率が急速に上昇をして政権運営が安定したことも考慮をしてトランプ大統領も武力行使に踏みきったのでしょうが、その効果は見られるレベルには達していません。
そこで、苦肉の策として、オバマケアの改革法案、税制改革法案の内容を発表するという手段に出たのでしょう。そこでも、トランプ支持率が回復をしないような事態になれば、本当に攻撃を仕掛けると読んでいます。リスク回避モードからの一時的な小春日和が訪れただけとみるべきでしょう。
今回の下げの争点
今回の下げは、ほとんどのアナリストが、アメリカの武力行使からの「地政学リスク」という人が多いと思います。実際に、マーケットはそのように動いていますので得心する方も多いでしょうが、今回の景気、株価の低迷というのは、アメリカの1-3月期の景気がよくなったことに根本的な原因があることを忘れてはいけません。
すなわち、アメリカ「GDP速報値」1-3月期は4月末に発表されますので、その結果次第で再び円高傾向が鮮明になると思います。この発表の数字が悪いと株式市場を筆頭に、夏場にかけて相場の低迷がひどくなるでしょう。
つまり北朝鮮を筆頭とした「地政学リスク」は、トランプ大統領の支持率次第ということになるのです。その結果としてドル円レートが100円前後になるであろうという私自身の予想は変わることはないと思います。
テクニカル的な説明
いつものようにドル円日足に「単純移動平均30」を加えてみればお分かりになると思います。
30と実態の足はかなりかい離が開いている状態になりますので、一度、戻りを入れてもおかしくないレベルです。
日経平均は今回のこの戻りにたいしてフラットになりますが、一番、重要なことは、日経平均にボラタリティーがないので簡単にフラットになってしまうことです。ニューヨークダウは乱高下していますので下向きは当分治りませんでしょう。
「S&P」はもうすでに30にとのかい離がなくなったので戻りいっぱいを示しています。アメリカ10年債は、上昇角度が多少なくなっただけで上値を志向しています。
10年債が上昇することは、今の値動きでは株安、円高を示すことになります。結論からいえば、今の戻るかもしれない、という期待は単なる戻りの可能性が非常に高いということになるのが通常の考え方ではないでしょうか?
(この記事を書いた人:角野 實)