18日のロンドン・NYタイム、ポンドが急激に下落をはじめて、それに引きずられるようにドル円も下落しました。
原因は日本時間の午後11時過ぎに英国のメイ首相が声明を発表するという情報が伝わったためで、事前に何も聞かされていないマーケットは、もしかして辞任するのか?とかんぐり始め大きくポンドが売り込まれることとなりました。
しかしその後6月に議会を解散する意向であることが伝わると一転買戻しが進み久々にポンド主体で相場が大きく荒れることとなったのです。
ポンドの上昇でポンド円も大きく値を上げることになりました。これまで売り込まれ続けてきただけに値を戻しやすい状況であったことは事実ですがあっという間に3年近い上昇を果たしたのはさすが「暴れ通貨」のポンドという貫禄を見せつけることとなりました。
さすが鋼鉄の女?いきなり総選挙を決定
これまで英国は2020年まで総選挙を行わない日程であり、メイ首相も繰り返し早期の解散総選挙には踏み切らない旨を口にしてきたわけですが、今回いきななり「我々には総選挙が必要だ。そして、総選挙は今まさに必要だ」と述べて6月8日に総選挙を行う意向を表明したわけですから、相場が驚くのも無理はない状況といえます。
ここから激しいEUとの交渉を乗り切っていくためには自国の議会で足元を救われては何の意味もないということから、安定政権を保証する唯一の道として国民の信認を事前に得るということに踏み切ったのです。
確かにキャメロンの辞任後に首相に就いたわけですから国民に信を問うのが筋というのもよくわかり、この議会選挙は1年ぶりに「BREXIT」関連で大きな注目を浴びることになりそうです。万が一保守党が負けるようなことになれば、またしても政権交代ということになりますから先行き不透明感をぬぐうことはできず、マーケットが心配するのも非常によくわかる状況になってきています。
今のところ保守党の支持率のほうが労働党を明確に上回っていますから、これで大きな変化が起きるとは思えませんが、昨年から選挙結果には油断は禁物ですから、この選挙でも想定外のことが起きてしまうと為替相場には相当な影響がでることになりそうです。
ドル安起因で大きく売り込まれたドル円
ポンドの乱高下は当然ドルにも大きな影響を受けることとなりドル円は18日の東京タイムに109.219円まで「ショートカバー」で値を上げましたが、その後108円台まで押し戻され、NYタイムには大きく値を下げて108.300円台まで下落するという厳しい動きとなりました。
ほとんどがドル円ロングの投げが中心の動きで積極的に円を買う動きというわけではないようですが、17日の東京タイムから売り込まれた水準に近いところまで1日であっさり戻ってくることとなってしまったわけです。
同じリスクオフでも想定外要因には相当な注意が必要
そもそも北朝鮮リスクやトランプ発言などでドル安円高になりやすい地合であったことは間違いありませんが、市場が想定していなかったような材料が飛び出して相場を揺さぶり、さらなる「リスクオフ」が展開されるようになりますと、これまでの相場レベルを大きく変化させるほどの下落につながることもあるため、相当な注意が必要となるのは言うまでもありません。
「BREXIT」関連では今後も相場が動くものとは想定されていましたが、まさかの総選挙実施はさすがに市場想定外であり、ポンド関連でここからも相場が大きく揺れることだけは覚悟をしておく必要がありそうです。
この結果を受けてドル円は予想以上に上値が重くなってしまい、さらに下値を試すリスクも高くなってきています。週末にはフランスの大統領選挙もあることから、さらに予想外のことが起きる可能性も残されており、慎重な売買が求められるところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)