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「イースター休暇」に突入した為替相場ですが、ほとんど動かないはずの14日のNYタイムでは、ドル円はすっかり108円台に留まる形となり日足の200日単純移動平均線をぎりぎり割ってこの週の相場を終える形となりました。
季節的な意味合いからも4月はここのところドル円が円高に振れやすくなっており、このまま行くことになればトランプの選出が決まった昨年11月の選挙時の水準まで戻ることも視野に入れなくてはならない状況が近づいてきているようです。
112円台に戻すより105円台に下落するほうが近い状況
週明け北朝鮮関連で何も問題がなかった場合でも既に109円に戻るレベルでは売りが並んでくるものと思われ、ドル円はさらに上値が重くなりそうなところにさしかかってきています。
昨年11月の米国大統領選挙の前日と当日トランプ勝利が確定した段階のドル円のレベルはちょうど105円台前半でしたが、そこまですでにあと2円ほどに迫ってきており、108円が下抜ければ最終的にそこまで下値を試しに行きそうな展開となってきています。
期待先行だけで投機筋も一緒になって買い上げた相場でしたが、政権発足から100日経っても公約に掲げて実現したのは「TPP」の脱退だけというかなり厳しい状況から市場はトランプ相場が単なる期待に過ぎず、大きく裏切られるであろうことを織り込み始めていることがわかります。
債券金利が先行示唆するトランプ相場期待の完全剥落
金融市場の仲では米国の債券市場が完全に先行きの不況感を織り込みはじめており、株や為替よりも先に長期金利が全く上がらない状況を示現しはじめています。
トランプ政権の政策が完全履行されれば大変な「インフレ」がやってくると思われていましたが、現状を見る限りそうした可能性はかなり低くなってきており、「インフレ」も幻想に終わるリスクが出てきていることをいち早く察知しているのが債券市場の動きなのだということが見えてきます。
既に債券の利率は先行きの米国経済の不透明感を先取りしていることから、これに株も為替も追随する動きがでるようであれば、本格的な相場の下落を覚悟しなくてはならなくなりそうです。
市場では「地政学リスク」とトランプ発言の両方に相場が反応していますが、地政学リスクが収まっても簡単には戻せないのが足元のドル円の状況と思われます。
一旦止まるレベルが近づいているが戻りの後再下落も
ドル円相場に注目しますと108円前半は107.500円レベルでは一旦止まりそうな気配ではありますが、北朝鮮問題が円高を加速すればそのまま105円台に下落していくことも十分に考えられ、とにかくここからは丁寧な戻り売りに徹することが利益にありつけそうです。
トランプ政権は減税についてもオバマケアの廃案と改定案が確定しないかぎり実施は不可能として先送りの構えを見せていますので、現状でもっとも簡単に実現ができると思われるドル高けん制による為替操作や「貿易赤字」の減少に特化した動きを見せるであろうことはほぼ間違いない状況であり、ドル円は政治的にもドル高円安に戻ることが許されくなっているようにみえます。
120円が上限などというかなり楽観的な見方も市場には残されていますが、すでに年初の118.500円レベルが今年の最高値であった可能性がかなり高まっており、昨年同様年間で20円幅の振幅があるとすれば98円ぐらいまでは下落することがあってもなんら不思議ではないところに差し掛かっています。
特に米国の株価が本格的に期待剥落から下落に転じることなれば為替が影響を受けるリスクはかなり高まることになり、インフレ政策が何一つ実現しないのに前倒しで利上げまでしてしまった「FRB」の政策は大失敗に終わる可能性も高まりつつあります。どうも米国金融市場は昨年の夢のような期待がすべて剥げ落ちるタイミングにさしかかってきているようです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
