今週に入って調子がよかったのは月曜日だけで、結局ドル円は大きく下値を試すこととなってしまいました。
市場では「地政学リスク」が嫌気されて下げたという解説になっていますが、今市場に登場しているのはほとんどが投機筋ですから、上がらなければ下値を試しに行くというのが正直なところで、110円台は割り込まないと見て下値で買いを入れていた本邦個人投資家・「ミセスワタナベ」は完全に粉砕されることとなってしまったようです。
世の中に鉄壁・岩盤の買いなど存在しない
ドル円に関しては、「アベノミクス」とやらが始まってから何かにつけて「為替介入」に近い効力をもつ「PKO」の買いというものが登場するようになっていますが、3月末から4~5回下押ししても割れなかった110円レベルには、やはり年金や生保の買いが一時的に設定されていたことはどうやら間違いがないようです。
しかし11日の夜12時近くの下押しでは結構あっさり110円を突破することになってしまい、これまでの岩盤のような買いを見ることは出来ませんでした。
やはり注意しなくてはならないのは、こうした「PKO」と思しき買いはずっとそこに留まっているかどうかはわからないということで、これが国の金融当局の「為替介入」とは大きく異なるものだということです。
確かに一時的に買いが大量に設定されていても「PKO」軍団は所詮ビジネスですから相場の変化次第でそれ以上の価格で既に買ってしまっているケースもあるでしょうし、大きく下がりそうなときにはあえて買いポジションを外してさらに様子を見るといった動きに出ることもあることは認識しておかなくてはなりません。
これまでのこうした買いのポジションの存在から相場が割れない状態というのは確かに「ダブルボトム」や「トリプルボトム」をつけて上申するきっかけになることが多いのも事実ですが、4回、5回とアタックされてしまうと結局割れて下抜けることが多いのもまた事実で、こうした買い情報を妄信するのは非常に危険です。
特に複数回の下値狙いのアタックが続いた場合には迂闊に買いオーダーなどをおかずに、動いた方向についていく心がけが必要になります。
本邦個人投資家はストップロスを入れないので相場上昇時には妨げ
今回も110円割れがないことを頑なに信じ込んでこの近辺で買いを入れた本邦の個人投資家が多かったようですが、結局粉砕されることなってしまいました。
しかしこの個人投資家のほとんどは下値で「ストップロス」を入れていないことから昨晩に関しては大きく下値を伸ばして走ることもなく、そこそこのレベルで下落は止まる形になってしまっています。
今朝についてはさらに下押しが加速して仲値以降に108.300円台まで下落していますが、108円台まで下落するためにはもう少し時間がかかりそうな状況です。
またここから相場が反転して戻る形になった場合には110円レベルで本邦個人投資家のやれやれ売りが続出することになると思われることから、上値もかなり限定的な状況になりそうです。
本当に15日前後で米国が北朝鮮に仕掛ける動きがでるようであれば、ここからの戻りは絶好の売り場となる可能性がありそうです。
米国の一撃だけで北朝鮮がギブアップになるのかどうかはまったくわかりませんが、早期に決着がついた場合には猛烈な買い戻しがでることも念頭において売買をしていく必要がありそうです。
今週末から来週にかけては欧州を中心にして「イースター休暇」でかなり相場が薄くなりますから、それを利用して急落や暴騰といった仕掛け売買がでることにも十分な注意が必要となりそうです。
NYタイムなどでは北朝鮮のリスクというよりはシリアのリスクのほうが意識されているところも見受けられ、本当に米国が北朝鮮を攻撃することになればその段階で改めて「地政学リスク」が高まりを見せる可能性もありますので、欧米時間帯の相場の動きに注目していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)