週明け大きな「ギャップダウン」となってしまったドル円は、勢い110円も割れかねない動きとなりましたが、今週から1時間早くなった欧州タイムのおかげで東京タイム終了後、いきなり下値を試し始めました。
結局NYタイムまで2回大きく下落しましたが、2度とも失敗に終り110円台後半まで戻してまたアジアオセアニアタイムへと戻ってきている状況です。
月曜日早朝の窓を埋めにいくかどうかがポイント
相変わらず上値は重そうな気配のドル円ですが、一旦下攻めに失敗しているだけに、月曜日の早朝に空けてしまった窓を埋めにいくことになるのかどうかが大きなポイントになりそうです。
24日のNYタイムの終値は111.300円レベルですから、ここまでは本来ならばなんとか戻しにいくことが期待されるところですが、この窓を埋めたとしても、111.500円を超えられなければまた下落方向に動く可能性は高く、依然として戻り売りを意識した売買が必要になりそうです。
なんといってもドル円を支配しているのは金利動向
市場では、「オバマケア」の代替案をすんなり共和党が可決できなかったことで、トランプの政策遂行能力に疑問の声があがっているとの報道が飛び交っています。
しかし、よくよく考えて見ますと、オバマケアはクリントン政権時代から8年もかけて実施にこぎつけたもので、オバマという名前がついていることと金喰い虫である政策であったことからトランプの選挙戦では真っ先に敵視されることとなったようです。
実際これを超える安価な国民皆保険制度を短時間に作ることは不可能な状況で、減税の原資として捉えること自体がおかしな話であったことを考えれば、この法案が簡単に下院を通過すると考えることのほうが安易であり、市場は都合よく期待しすぎ、失望した形となっていることがわかります。
この件が相場に少なからず影響を与えたことは間違いありませんが、やはりドル円の本丸は米国10年債金利の動向に依存していることで、先週末から週明けのドル円相場の動きは見事に金利に連動していることがわかります。
過去8年間で3月最終週のドル円の上昇は6勝2敗
この3月末というのは、ドル円が上昇して終わるような印象をもたれている肩も多いことと思いますが、実はそのイメージは間違っておらず、過去8年、つまり「リーマンショック」後からは6回が前週よりも上昇して終わっており、下落で終わったのは2回だけとなっています。
もちろんこれは月足の陽線引けというほど調子のいい話ではありませんから、今年でいいますと111.300円を上回って終えられるかどうかという、それほど大きな話しではありませんが、ここ8年の「アノマリー」としてはなんとかこのレベルを超える可能性があるということだけは意識しておきたいところです。
それにしても年初に高値がでて、3月に年初来安値がでてしまう今年のドル円の動きは決して気分のいいものではなく、相場が青天井ではないことを示唆している状況です。
本来であれば年金にしても民間企業の決算にしても少しでも円安状況のほうがいい数字になるわけですから、年度末の月末にずるずる下押しをするというのはなんとも情けない動きといえますが、トランプ政権のもとでドル円が過度にドル高にはならないと相場自体が意識しているようにも見える動きが続いています。
毎回ご紹介しているドル円月足の20ヶ月移動平均線は112.554円のレベルを走っており、今回ばかりはちょっと遠く及ばずにつき足は完全な陰線引けになりそうな気配であり、ここからはまたしても戻り売りを意識する4月相場になりそうです。
トランプ政権が決定してから年明けまではこのラインを超えて引けたドル円でしたが、明らかにパワーがなくなってきていることを示唆した状況といえ、短期でロングをとることは問題ないとしても長期的には上げに順張りでついていくのは注意が必要です。
(この記事を書いた人:今市太郎)