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23日の相場は米国の下院での「ポストヘルスケア案」の採決が延期になってことから、日本時間の早朝に失望売りでてまたしてもドル円は110円台に沈むことになりましたが、採決が延期になったことだけでは売りも長続きせず、また東京タイムにむけて111円台を回復する状況となっています。
しかし、材料難もあるのでしょうが、米国の政治的な状況にドル円は振り回されっぱなしで、この年度末取引妙味のまったくない状況が続いてしまっています。
さすがにこれでは売買する気にならないのが正直なところで、今年の為替相場取引の難しさを新たな部分で垣間見る時間帯となってしまっています。
政策実施の原資を持たないトランプ政権ではこの種の話しが継続
トランプ政権は上下両院とも共和党がマジョリティを押さえてはいるものの、圧倒的多数ではありませんから、新たな政策を打ち出す場合にはまず今年の予算をフィックスさせるところからスタートさせなくてはなりません。
費用削減の大きなポイントとなっているのが「オバマケア」の廃止と見直しとなることから、これがそもそも下院を通過しないとなるとすべての法案がこの先、暗礁に乗り上げる可能性もあって市場は非常にこの状況にナーバスになっています。
本日NY時間に再度法案の採決が行われる見通しですが、またしても延期などという話しになってしまいますとドル円は大きく売られる材料になりそうです。
ただ、このヘルスケアの法案が通過しても、トランプが実施しようとする大幅減税や巨額のインフラ投資にはまたしても原資が必要となるのは間違いなく、とくに減税については国境税による歳入をかなり期待していることもあることから、ここからも議会の審議次第で政策ができるかどうかがかなり左右されることになりそうです。
そのたびに今回のような相場のゆり戻しがでてくることになるわけですから、ドル円の取引にとっては非常にやりにくい時期が到来していることを示唆しているといえます。
また「ドッドフランク法」の廃止の問題もそう簡単にはいかない部分があり、共和党の中にも反対者が多く存在することになることから、こちらも問題が表面化するたびに金融株が激しく売られる要素となるのは間違いないなく、相場を振らせる要素となりそうです。
すべてのトランプ政策が実施可能になれば2年以上に経済延命も
現状で提示されているトランプの政策がどこまで実現されるのかが大きな問題となりますが、仮にある程度の規模ですべてが実現にこぎつけられれば、金利と多少上げることがあったとしてもさらにここから2年程度は今の景気が継続するのではないかといった、楽観的な見方もあるだけにどうなるのかは非常に注目されるところです。
逆にことごとく法案が通らず、しかも規模の縮小などということが現実のものになった場合には、夏を越えない時間帯で金利動向次第による大幅な相場の下落の想定も必要になりそうで、トランプ政策がどこまで実現するかの見極めは為替にとってもかなり重要な材料となってきていることがわかります。
4月に入ればいよいよ通商問題の日米、米中交渉が焦点に
年度末、月末の相場はどうやらこのまま軟調に推移しそうな嫌な予感がしますが、4月に入っても本格的に日米間の通商交渉、あるいは米中の通商交渉が始まるであろうことから、別の材料が上値を抑えることも考えられ、ドル円には当分青天井が準備されていないことが気になります。
ここからの時間帯はユーロもなかなか難しい時期にさしかかりますから、特別お勧めの通貨は見つけられない状況ですが、とにかく無理をせずに短い時間帯で利益を積み上げるしか方法はなさそうです。
相場としては決しておもしろい感じではありませんが、こつこつ売買をしていく以外には妙案はどうやら用意されていない状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)