3月15日の「FRB」による「FOMC」の開催に向けて投票権のあるなしに係わらず要人の利上げ賛成発言が相次いでおり、「FRB」が組織的に利上げを口にして相場の反応をうかがうキャンペーンを行っていることが明らかになってきています。
思い起こせば昨年のジャクソンホール以降の8月末から9月にかけても似た様な動きが示現することがありましたが、結局利上げは12月までずれ込む形となり、今回のキャンペーンがうまく機能することになるのかどうかが非常に注目されるところです。
ハト派のブレイナード理事まで利上げに賛同
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今回「FRB」が仕掛けているキャンペーンでは、タカ派がでてくるとハト派が水を差すといういつものやり方とはちょっと異なり、いきなりハト派だったはずのブレイナード理事までもが早期利上げを口にする始末で、東京タイムでの講演の発言でドル円は一気に114円台に上伸する動きとなっています。
恐らくこれまでの「FRB」の組織的なキャンペーンのやり方を見ていますと、ハト派の人物まで利上げを口にすることで市場のコンセンサスを一気に作ってしまいたいという意図がかなり強く感じられますが、果たして本日(日本時間4日未明)の「イエレン議長」、フィッシャー副議長の発言がさらにこの動きを冗長させるものなのか、比較的落ち着いたものになるのかが大きな注目点ということになりそうです。
ここから115円超えは難しい状況か
ただ、ここで無理して利上げをして相場に大きな影響を与えることになってしまえば「FRB」の「イエレン議長」の責任が問われることになるのは間違いなく、発足仕立てのトランプ政権もすべてイエレンのせいにしてくることは間違いないわけで、果たして潜在的なチキン議長として有名なイエレンが前倒しに踏み切るのかどうかが最大関心事となりそうです。
経済指標的なデータからすればここで利上げしなければ一体いつ上げるのかといったほど指標はいい状況にありますし、なにより「FRB」がもっとも大きなベンチマークとしていると言われる米国株式市場の状況を見れば確かに多くの幹部が自信を覗かせるのもわかりますが、果たしてこの調子で3月にまんまと利上げをしてしまうのかどうかで相場の状況は激しく変化することになりそうです。
市場のコンセンサスに見事に反応する「イエレン議長」ですから、市場が利上げを織り込むことになればさっさと利上げに踏み切る可能性も十分に残されていますが、果たして3月に駆け込みで利上げを実現させてしまうのかどうかが大きなポイントになりそうです。
本日も東京タイムの4日早朝に「イエレン議長」の講演が予定されていますが,恐らくは利上げに前向きな発言に含みを持たせて、週の取引を終えることになるのが容易に予想される状況です。
しかしそうなるとほとんどの市場が利上げを織り込んでしまうことになりますので、NYダウがさらに嫌気して3月15日前に相場を崩す可能性もありますし、ここからの10日間ぐらいはかなり微妙な相場展開になりそうです。
さらに利上げが実際に実施されてしまった場合には、Sell on the factという形で売りがでることもありえますので、ここから115円を超えて大きくドル円相場が上昇すると期待するのはあまり考えないほうがよさそうな状況といえます。
またムニューチン財務長官は長期の低金利を口にしているだけに「FRB」の独自性を重んじるとはしていますが、なにか発言をすることになると市場への影響が懸念されることになります。
したがって事前段階では上昇についていってもある程度の上昇過程でしっかり利食いをして「FOMC」を迎えるといったっ工夫が必要になりそうな相場で、逆に株式市場が大きく崩れだせば事実で売りに回ることも考えなくてはならなさそうです。
トランプ政権の政策は早くても2018年以降に始まるものがほとんどですから、この段階で具体的政策を想定してインフレを早めに抑制するため利上げを行うのはかなりの勇み足であることは間違いなく、ややもすれば景気が逆戻りしかねない状況を「FRB」が作り出す危険性も残されている状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)