市場が期待したトランプ大統領の上下両院での演説は、事前の予想通り、減税に関する詳細の数字などが織り込まれることなくあっさり終了しましたが、特別発言内容が後退したわけでもないことからとりあえず大きな失望売りなどは出ていません。
実際のところは3月11日前後と見られる予算教書待ちとなり、相場の大きな材料にはならなさそうな雰囲気になってきています。
東京タイムは無難にこなしていますが、ここから先の市場の評価は3月1日のNYタイムがはじまってから為替のみならず株価と債券の動きをチェックしていくことが重要になりそうです。
材料的には今回の議会演説だけで相場がさらに大きく上伸するようには見えませんが、期待が維持されればさらに上昇ということも考えられます。
インフラ投資1兆ドルという数字に市場はそれなりの反応を見せていますが、その投資原資がどこからでてくるのかの詳細を開示することも必要になることから、単純に市場が好感することになるのかは実際の相場を見てみないことにはもうひとつ判らないのが実情となっています。
実際の減税、インフラ投資政策はかなり先にならないと形になって見えてこない状況が徐々に明らかになっているだけに、市場がこうした状況にどこまで寛容に評価してくれるかも大きなポイントになりそうです。
特に国民の期待が大きい減税に関しては、解決しなければならない問題のほうがはるかに減税案のつめよりも多くなっているも事実で、政権と共和党がどこまで折り合いをつけてこうした状況を乗り切っていくかにも期待が集まります。
為替市場はむしろFRBの利上げ見通しのほうに反応
ところでドル円は28日のNYタイム終了時間に、ダドリ―NY連銀総裁(FOMC副議長)やウィリアムズSF連銀総裁が早期利上げに前向きな姿勢を示したことから大きく買い上げられ、トランプ演説が始まる前にすでに東京タイムで113円台をつけるほどの上昇を示すこととなりました。
これまで3月はほとんど利上げ見込みがない状況でしたが、毎回ご紹介している「FedWatch」でも急激に利上げが意識されることとなっています。何故ここまでタカ派発言をする「FRB」メンバーが多いのかはいまひとつよく理解できませんが、現実に3月利上げも視野に入れなくてはならない時期に来ているようにもみえます。
2月のドル円はぎりぎり月足で20ヶ月移動平均を上抜けして終了
2月はかなり停滞感の強かったドル円ですが「FRB」の要人発言に助けられた感もあり、なんとか月足の20ヶ月移動平均線をぎりぎりクリアした状況です。
ただ、ほとんどボーダーライン上の動きになっていますので、果たして3月にこのレベルを大きく超えて上伸を明確にためすことになるかどうかが注目されます。
重要なイベントはなんとかこなしたものの、大きく相場が動き出す感じがまだ明確に感じられない状況で、もう少し市場の反応をしっかり見てから判断していところです。
チャートだけから見ますとドル円はさらに一定の下落があってもおかしくないような形になっていますが、28日のNYタイムでも111.500円を割れる動きにはなっておらず意外に下値は底堅い状況です。
いずれにしても今月ここからの動きについては今週残りの市場の状況をよく観察して方向感がでるかどうかをしばらくチェックしてみることが必要になりそうです。
特に米国の株式市場の動きと債券市場の動きがどのようになるのかは非常に注目されるところで、状況次第ではもう一段上昇するトレンドが明確になる可能性もありますし、利上げを意識して下落に転じるリスクも残されています。
(この記事を書いた人:今市太郎)