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21日からの週、ドル円はNYタイムになるとなぜか円高になる状況が続いた気がします。実際にチャートをよく除き返して見ますと22日から23日、24日と確かにNYタイム、「ロンドンフィックス」が近づく辺りで、そうした動きがでてきたことだけは間違いないようです。
これは米国の金融市場やメディアの報道などが影響しているともいえますが、もしかすると年度末にむけての日本勢にからのレパトリエーション（資金円転）に伴うものがでているのかも知れません。
来週も2日ほど2月月末が残されていますが、これで3月1日になるとぴったりこうしたNYタイムの円高が終了するようなことになれば、やはりレパトリがらみのディールで出ていたことが影響していたのかも知れません。
本邦企業決算に伴うレパトリは2月中に分散実施が基本
本邦企業関連の海外法人からの資金の円転還流については、決算対策の問題もあるため、ぎりぎりではなく2月には分散してほぼ終了されてしまうのが基本のようで、微調整だけが3月末にでるのが基本のようです。
またこうした円転のレパトリは5～10日に限らずでてくることが多いようで、月末の円転だから企業系のレパトリと思うのは、いさかか単純すぎるようです。
海外投信の償還にあわせたレパトリも
2月の月末に意外に需要が多いのは海外の投資信託の償還にともなうレパトリ需要で、東京タイムではなく「ロンドンフィックス」に向けてこうした玉がでることが多くなるのもひとつの注目点です。
国内で意外にまとまった金額となるのが海外の案件に投資する投資信託だそうで、ボーナス時期に募集して実際に設定するのが1月末や2月となりますとこの時期に償還となる金額が増えるのもうなずける状態です。
今週の場合には本邦企業系よりもこうした個人投資家が投入した投信の円転がそれなりにまとまってでてきている可能性がどうもありそうです。
連日同じような時間帯になると円高が示現するというのは、どう考えても投機筋の仕業というよりは本邦勢の理由に基づく動きに起因している可能性が高く、明確には外には出てきませんが、なにかこうした理由が伴っているのであろうと思われます。
投資はもともと「実需」とはいえないものですが、長期間にわたって外貨で運用を行っているかぎり短期に買い戻しがかからないことから、きわめて実需に近い玉の動きになることが確認されています。
これまでは米国債など外債の償還があると日本円需要がでるといった話しもよくでてきたものですが、実際米ドルで投資したものはいちいち円転させずとのままドルで次の投資を行うことも多いことから、意外に機関投資家がからむ外債投資では円転はでないとも言われています。
となるとやはり個人投資家相手のものの償還期が絡んでいる可能性が高いのではないでしょうか。来週は28日にトランプ演説があるためちょっと判りにくいですが、3月に入ってNYタイムで無闇にドル円が円高にならなくなってくればやはりレパトリの影響があったといえそうです。
逆に米系企業の日本からのレパトリというものも考えられますが、その多くはカレンダーイヤーである年末までに実施しているケースが多いことから3月末に集まることはなく、やはりこの時期の中心は本邦勢ということになりそうです。
この時期を越えますと年度末の決算時にドル円がどのレベルになって終了するのかが、帳簿上の決算として重要になるため、本来は国をあげて円安の方向にもっていきたいはずですが、今年は米国が睨みを利かせていることも手伝っていますのでどのようなレベルで落ち着くのかが非常に気になるところです。
昨年の年度末も大きく下落したイメージがありましたが3月末は112円台であり、あまり今年の状況とは変わらない位置にあったことがわかります。足もとの相場では市場の動きが後付けの理由で語られがちで、すっかりムニューチン発言がドル円相場を冷やす全てのように説明されていますが、実は裏側でこうした実需の動きが頭を抑えているということもあるのです。
為替相場ではすべての事実が必ずしも解説されていない可能性があることも考えておかなくてはなりません。
（この記事を書いた人：今市太郎）
