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年が明けてすでに二カ月が経過をしようとしていますが、昨年11月にトランプ新政権誕生が確定したときからマーケットはずっとリスク選好の形となっています。
この要因が何なのかを考えていかないとこのトランプラリーの結末などは見えません。日本の報道ではほとんど報道されていませんが、トランプ新政権の、インフラ投資や減税等の財源は貿易等の輸入関税からのものではありません。今回はその話をしてまいりましょう。
トランプラリーはなぜ、始まったのか？
「トランプラリー」というのは、なぜ、スタートしたのか、という要因をきちんと押さえておかないと何に変化が出ると、マーケットにどういった変化が出るのか、というのが理解できません。
テクニカル分析で、もはや、ドル円で円高になると言われる方はいないと思いますが、実際にいらっしゃるので、吃驚しますが、自分の考えに拘泥する典型例と言えると思います。
先ず、トランプ政権の公約の中でマーケットに大きな影響を与えるのはインフラ投資や減税になります。これは、アメリカ政府の財源の必要な話であり、そして、その財源は貿易等の国境輸入関税をかける、そして同盟国に対して、その支出の負担を求めるということがその骨子になります。
つまり、オバマ政権では８年間に渡って「リーマンショック」直後ということもあり、財政の緊縮が行われた、つまり予算の縮小が続いたのですが今回、トランプ政権になって上記の政策を実行するとすれば、8年間の緊縮財政から、トランプ政権によって拡大に転じるという期待からトランプラリーはスタートしたのです。
先ずは、こういって政府支出が拡大するということは、公共投資が増えるのですから、株価は上昇をします。そして、財政赤字が未だに解消をしていませんし、オバマ政権の緊縮財政を続けていても財政赤字は拡大する予想であったのですから、当然、トランプ政権が財政拡大を続ければさらに赤字は増えます。
財政赤字が拡大をするということは、リスクが増えることになりますので、国債の金利は上昇、価格は下落ということになる、というのがトランプラリーの論理上の理屈になります。
ドル円相場は、このアメリカ10年債券に密接にリンクしていたのですから、価格が下落すれば円安、上昇すれば円高という形になっていると思います。
実はトランプ政権の、そもそもの間違い解釈
トランプ政権は、石油パイプラインや老朽化した公共施設の立て直しを図るといっていますが、実はその財源はアメリカ政府の予算でやろうとはしていません。
この構想をきちんとインタビューや会見をみていればわかると思いますが、官民ファンドを設立して、アメリカ政府が実質、ほとんど資金負担がないような構想を練っているのです。
つまりこのたランプラリーというのは、減税やインフラ投資によって財政赤字が増えるので債券売りの株買いという形で反応をしましたが、実は、10年で100兆ドルの規模で行う、という当初の予想というのは、それだけアメリカ政府の財政赤字が増えるというわけではない、ということをマーケットにわかっている人が何人いるのでしょうか？
この大変な事実を無視して、株価は上昇しているので債券トレーダーは上がりすぎたと批判をし、株式トレーダーは無視して買っているだけの話です。
ドル円に関しては、去年、予想したよりも財政赤字は増えないと踏んでいますので債券価格の上昇はストップして、一転、価格が下落に転じているので、10年債に忠実に今、現在、動いているドル円が円高になるのは当然のことなのです。では、この結末、トランプラリーの結末は、どうなるか、といえば、債券とドル円は正常に動いているのですから、株価の修正が入るということになります。
アメリカ株価が急速な押し目を作ると本来、ドル円は円安にいくのですが、一緒に円高にいくでしょう。下落がひと段落をしたところで急速に円安に行くのではないか、と考えています。
（この記事を書いた人：角野 實）
