Photo 朝日新聞
11日日本時間の午前3時、当初の予定通り日米首脳会談の記者会見が開催されました。大方の事前予想のようにトランプ大統領はひどくまともな話ししかせず、安倍総理大臣も事前に出来上がっていたとしか思えない規定演技の会見を開き、為替は一瞬ドル円が112円台に下落する場面もありましたが、概ね大きな影響を受けずにとりあえずイベントを通過した形となりました。
しかしここから先13日の午前5時ぐらいまでかなりの時間が残されることになりましたから、余分な条件を突きつけられるのはむしろこれからということになりそうで、その厳しい中身も月曜日にすぐ開示されるとは到底思えないことから、これでドル円が上昇に転じることになるのかどうかは依然として相当不透明な部分を残す形となっています。
ぶれないトランプがゴルフや食事で宗旨替えするわけがない
大統領就任以来トランプはそれまでの選挙公約をかなり忠実に果たす姿勢を鮮明にしており、ある意味ではまったくぶれない存在になってきています。
そういう意味では対日貿易赤字の件も日本サイドから従来からある説明を受けてゴルフで懇意になって何事もなかったかのようにけん制が終息するとは思えない状況で、とくに為替に関しては会見上では具体的な発言はなく、緊密な議論をするとしていますので来週以降に米国からの要求結果が少しずつ詳らかになることで改めて相場に影響を与えることになりそうです。
少なくとも日本サイドは為替操作はしていないし安倍政権になってから為替介入もしていないことを強調していますから、ここから先はまったく介入ができなくなることを再度確認したようなもので、この会談を経てドル円が大きく上昇軌道に復帰すると考えるのにはかなり無理がありそうです。
為替問題の本丸は米中通商協議へとシフトか
USD CHY 出展ブルームバーグ
こうなるとドル円により具体的な影響を及ぼすことになりそうなのが米中の人民元と貿易赤字とめぐる協議ということになりそうで、果たして米国が中国とどのような話しにでるのかが注目されます。
2015年8月に中国金融当局が人民元を切り下げしたことから、株も為替も大きく値を下げる人民元ショックがあったことは記憶に新しいものとなっていますが、足もとの人民元安の状況はそれをはるかに超えるものとなっており、米国がいきなり中国製品の輸入に45%の関税とかけるようなことになれば中国側はさらに人民元を切り下げるといった動きを加速させる可能性もでてきています。
また元高について米中の話がある程度まとまることになった場合には、円安が邪魔になる可能性も高く、元高維持のために円高も示現させるという影響がでることが考えられます。
こうなるとドル円はドル人民元の動きにも相当気をつかうことになりそうで、為替をめぐる米国の動きはまだまだ目が離せないものになりそうです。
ドル円は年初がもっとも高かったことになる可能性も
ここからのドル円の動きはいまひとつよく判らない状況が継続しそうですが、米国から具体的な為替に関するクレームがここ数日で日本側に伝えられることになるとすればドル円が大きく上昇するとは考えにくく、下手をすると年初の118.600円が今年の最高値であったということも起こりそうな気配です。
足もとでは111.500円レベルでダブルボトムをつけたのが底になってドル円は上昇の気配を見せていますが、正直なところまだ明確なトレンドがでてきているわけではありませんから、ここからもレンジ相場が継続する可能性は捨て切れません。
また週明け以降具体的に円や人民元に対してトランプから発言がでれば即座に円高に振れそうな気配濃厚で、月曜の朝の窓空けだけに注意していればいいほど単純な状況ではなくなりつつあります。
(この記事を書いた人:今市太郎)