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7日22時半に米国の12月「貿易収支」が発表となりますが、この内容が俄然市場の注目を浴びています。
トランプ大統領が「貿易赤字」に強く言及しているのがその大きな理由で、異常に関心を集めているこの数字が悪化すればドル円は2月10日前に大きく円高に振れる可能性がでてきています。
ほとんど降って沸いたような事態ですが、今後は「雇用統計」よりも米国の貿易統計のほうが注目を浴びる1995年以前の為替相場に回帰することも想定しておかなくてはなりません。
米国は慢性的貿易赤字国
出展Yahooファイナンス
米国の「貿易収支」はここ4年ほど見ていても季節変動要因はあるものの、基本的に横ばいで、大きく改善することはないままに推移しています。今回の予想も－450億ドルで大きく改善することはないものと見られています。
またその中身を見てみますと、確かに1980年台は圧倒的に「貿易赤字」の先は日本であったことがわかりますが、90年以降からはその額も比率も減少しており、米国が「貿易赤字」を目の敵にするならまずは中国に矛先が向かわなければ話しにならない状況です。
外務省資料から
1981年の70.8％をピークに2010年には9.4％にまで落ち込んでいるわけですから、今更自動車の貿易などをいくら指摘していただいても日本が米国車を買い入れて赤字が減少することになどまったくならないことは間違いありません。
安倍首相が古代中国における朝貢外交のように、米国に雇用をつくり金を貸しますからと申し出て果たして丸く収まるのかどうかはまったくよくわからない状況といえます。
確かに数字だけみていきますと米国はもはや救いようのないレベルの「貿易赤字国」ではありますが、アップルのiPhoneなどを見れば国内で生産していない、米国企業製品の利益だけがレパトリでもどってきて経常黒字が拡大するのがこの国のビジネスモデルになっているわけですから、いまさら製造・貿易立国のようなことを口にしはじめて本当に回帰できるのかどうかもかなり疑問が残るところです。
関税引き上げとなれば結局費用負担をするのは国民
メキシコとの間には万里の長城のような前代未聞の国境建設がどうやら本当に進むようですが、ホワイトハウス、スパイサー報道官は「包括的な税制改革で、メキシコのような貿易赤字を抱える国からの輸入品に課税することを検討している。これで年間100億ドルが捻出され、壁の建設費を簡単に賄える」と答えております。
同報道官は税率は20％を検討中だとし、メキシコ以外の国からの輸入品への課税についても「貿易赤字を抱えている国を検討している」としていますので、日本製の高級乗用車などが槍玉にあげられる可能性は十分に残されているといえます。
ただ中国製品と違って日本製品やドイツ製品は、その品質とブランドのクオリティに対して顧客が金を投じているわけですから、ほしいものは関税が高くなっても購入する米国の消費者はそれなりに存在するはずです。
結局はこうした政策は米国民がその費用を転嫁されて負担することに他ならず、万里の長城もはやい話が国民負担となりそうな状況で、果たしてそれに米国民が納得するのかどうかが注目されます。
トランプ政権もこうしたやり方はわかっていてわざと仕掛けている気配濃厚の確信犯ですから始末に終えないものがありますが、円高シフトも含めてこのネタでの為替の変動は当面続きそうな気配です。
また日米首脳会談でたいした問題にならなかったという報道が飛び出せば、逆に大きくドル円が買いあがる可能性もあり、一方向だけに動くと妄信しないほうがよさそうです。
このようなやり方は非常に為替にとってはやりにくいものになってきていますが、彼らは必ず交渉による落としどころを探ってくるはずできわめて打算的な結果が出ることもありうる点には一層の注意が必要になりそうです。まずは7日の22時半の相場の急展開に要注意することが肝要でです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
