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「BOE」は2月2日大方の市場の予想どおり政策金利を据え置きましたが、四半期の「インフレ」報告では、2017年の「GDP」伸び率を従前からの1.4%を2%にまで引き上げ、英国景気が「BREXIT」決定後も堅調な状態であることを改めて印象づける内容となりました。
また、「インフレ」率は18年第2四半期に2.75%でピークを迎えると予想し、11月時点の見通しの2.83%から引き下げています。やはりEU離脱によりあらゆるものの物価は上昇することが明確に予想されはじめており、今回はまったく示唆されていませんが利上げのタイミングが明らかに近づきつつあることを暗示させる内容となっています。
「カーニー総裁」は当日の会見の席上、成長見通しの上方修正は、ブレグジットによる景気への影響がないというわけではないと指摘しており、離脱交渉をめぐる不透明感が企業の投資を抑制しているとも発言しています。
2015年末以降、設備投資は横ばいが続いていることにも触れておりブレグジットの旅はまだ始まったばかりであることから、行き先は明確であるものの途中には紆余曲折もあるだろうとコメントしています。
ユーロ離脱の恩恵は幻想と厳しく英国を批判したドラギ総裁
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同じく2月2日にスロベニアのユーロ導入10年の記念イベントに登場した「ECB」の「ドラギ総裁」は単一通貨ユーロからの離脱はどの加盟国の利益にもならないことを強調し、経済問題の多くは政治に起因したおり、通貨安はその解決策にはならないことをあらためて表明しています。
ただ、結果論から言えば通貨安は様々な利点があることも事実であり、英国の足元の状況をみるとやはり自国通貨安は物価には大きな問題があるものの、メリットが大きいことを痛感させらます。
いまのところ英国のハード「BREXIT」が成功するとはまったくいえない状況ではありますが、EUに留まる留まらないという問題以上に、ユーロという域内共通通貨を使うことのむずかしさも感じさせられる状況になってきています。
2017年はユーロが注目されるはずがすっかりトランプ相場に
2017年はユーロ圏の主要国で総選挙や大統領選挙が開催され、しかも英国のEU離脱交渉も具体的にスタートすることから完全にユーロがテーマの年とイメージしていたわけですが、年明けからはすっかりトランプの保護主義的大統領令にすっかり振り回されることとなっており、ドルとの向き合い上各通貨がどうなっていくのかとう視点のほうが強くなってしまっています。
いち早くトランプ大統領と首脳会談を行い親しい関係を築いているメイ首相についてもEU首脳は決して快く思っていないようですが、為替の世界もこうした保護主義がいつまで市場を席巻することになるのかが注目されます。
個人投資家はドル主体の日替わり相場の影響をもろに受けており、多くの投資家が取引の難しさを実感していることと思います。
ポンドもそうですが、きわめて政治的な内容に為替相場が影響するようになってきますと、チャートを見ていたり従来からの「ファンダメンタルズ」で相場の方向感を予測することがきわめて難しくなります。
残念ながら今の相場状況はまさにその政治的な影響を受けている真っ只中にありFX投資にとってはこれまでになく難しい相場状況の中で勝負していくことを余儀なくされています。
とにかく市場が何を気にしているのか、またどういったことに最も大きく反応するのかについて改めて細かく観察していくことは重要になってきているようです。
ポンドは日ごろから事前予想と反するような動きをとる傾向の強い通貨ですが、米ドルからの影響も含めてますます事前予想と異なる動きをすることが多くなってきています。
特に今年に入ってからの動きは他の通貨に比べても難しさを増しており、予断をもたずに動きがでた方向にしっかりついていくといった確実なやり方が益々重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)