30日の米国NYダウ株式市場は2万ドルに到達してから初の2万ドル割れとなる下落と示現一時200ドル以上の下げとなりましたが、終り値は122.65ドル安の19971.13、ナスダックは47.07ポイント安の5613.71で取引を終了することとなりました。
トランプ大統領が難民受け入れの停止や中東及びアフリカの7カ国からの入国を一時制限する大統領令に署名したことが混乱を招き、欧州株が全面安となったことから米国株も寄付き後から大幅下落し、主要企業がこれに反発していることなどもあって株価にそのまま影響がでた形です。
ある意味ではこれまで高値を更新し続けたNYダウが市場警戒感から大規模な暴落前に一旦値を下げたのはヘルシーコレクションともいえる状況ですが、市場危機感があるうちは暴落には繋がらないものと見られ、株式市場も上昇一辺倒か一旦レンジに移行する可能性が出てきているといえそうです。
多くの個人投資家が方向感を見失う状況
相場というのは後から見ればしごく簡単なものであったような錯覚に見舞われることになりますが、実際の動きの現場にいるとそう簡単に方向感がわかるものではありません。
特にここのところのドル円相場はあっと言う間に1日に2円程度は上下の振幅を繰り返していますからショートが溜まって115円方向に上伸するのではないかと思ってもNYダウがあっさり2万ドルを割れてくれば当然リスクオフの動きが発動することになるわけで、明らかにレンジ相場への転換に向けた激しい振幅期間をこなしていることがわかります。
個人投資家が売買を見合わせて様子を見ようそとするのも当たり前で、ほとんどの市場参加者が相場の方向感に明確なものを見出せないまま1月が終了しようとしています。
市場が期待する政策以外のノイズが大きくなるトランプ政権
新興国や独裁国家であれば、国の指導者の一挙手一投足で相場が揺れ動くというのはよくあることです。
ですが、主要先進国の中でもさらに中心的存在の米国でこうした指導者の発言に相場が連日振らされる状況というのは、いくらトランプのやり方が既存の方法とは異なる新しいものであるといっても市場が我慢できるものとできなものがあるはずで、たった10日間のトランプ政権で既に市場は疲弊し始めている状況です。
とりわけ為替相場の脈絡のなさは特筆すべきものがあり、相場に参加しては損をするトレーダー続出中のようです。
NYダウの暴落はまだ先
為替市場も米国の株価の大幅下げには反応せざるをえない状況で、これからも株の下落でドルストレートが下落することは日常的に示現しそうです。
ただ、市場参加者が不安にかられる大暴落はこうした市場で危機感をもった人間が混在している状況では起こりにくいのが通常で、すべての市場参加者が楽観的に上昇だけを確信するような状況に比べればまだ安全といえます。
ただ徐々に株式市場も盲目的なトランプによる好況相場期待から覚めつつあることも事実で、金利の上昇と株価の上昇が並存しなくなる時期も近くなってきているように思われます。
ドル円の月足は毎回ご紹介しているように20ヶ月移動平均線のちょうど上にあり、31日の終り値がこの20ヶ月移動平均よりも上か下に沈みこむかで、2月の相場展開に大きな影響が出そうな状況です。
したがってとにかく今月の終り値に注目したいところですが、なんとか113.800円を越えるレベルで越月することができれば再度上昇の可能性も残されそうです。
ただ、トランプの言動は毎回こうしたテクニカル的な分析結果を悉くぶち壊しはじめていることから予断を許さない状況で、急激な相場の変化、反転にはくれぐれも気をつけなくてはならないところにきています。
本日は「日銀政策決定契合」の結果発表ですが、トランプ政権の市場ふりまわりの中にあって「黒田総裁」もすっかり影の薄い状態です。
(この記事を書いた人:今市太郎)