春節とトランプ大統領、そしてアメリカＧＤＰ

とうとう、トランプがやってしまったというのが正直な感想です。テロを起こす可能性のある国からの入国拒否を始めました。これは、以前にも書いたかもしれませんが、近年の世界の豊かさの源泉は自由にあるのです。

つまり個人が財産をもってもそれを国家や盗賊から守ることが国家の規範になるのですが、今回の入国拒否というのは、いくら公約とはいえ、この自由の国、アメリカの根幹を否定することになります。

アメリカの強味というのは、人権の尊重で、奴隷廃止によってその国力を増大させたことにあります。そして個人財産を保証することによって、搾取や略奪から守ることによって、自由にお金を稼いでもいいということが、アメリカが超大国である所以です。

その人種差別的な今回の大統領令は国家を揺るがす大事件といっても過言ではないでしょう。すぐさまに影響は出ないでしょうが、肌の色や政治、信条、宗教によってその自由を取り上げるというのは、経済学的にも間違いですし、道徳的にも間違いです。

なぜなら、国力を上げるためには、数が多ければ多いほどいい、つまり人口が増えれば、増えるほど国力が増す、それを制限したら自動的に国力は弱っていきます。その根幹を否定して、アメリカ・ファーストというのは矛盾だらけの話になります。

この話のキモは、すぐさまに影響は出ないということ、そして、必ずこんなことをしたらこの咎めは必ず出るということです。つまり、目先は好きなようにトランプにやらせておけ、ということです。

春節について

1/26から2/3日まで中国で旧正月、日本でいえば、お正月を迎え、マーケットが非常に薄商いとなります。この状況は、アメリカやヨーロッパのクリスマス休暇に相当すると思います。

ここで、重要なのは、アメリカ国債を保有している上位に中国や日本があるということにあります。つまり、その上位国の中国がアメリカの国債の売買がお休みになるのですから毎年のことですが、中国の春節期間中はアメリカ国債の商いが薄商いになることです。

そして、国債というのは結局、通貨と同じことになりますので、為替相場にも影響が出ます。みなさんもご存じのように中国の人民元相場というのは一応、変動為替相場制度を取っていますが、管理フロート制度といって、その値幅制限があります。

つまり、制限値幅があるということは、価格ヘッジ機能が喪失していることでもあり、ヘッジが必要な中国企業や中国に進出している外国企業はそのヘッジを日本円に求めることです。

そのドル円も春節期間中、薄商いになるのです。そして、最大のことは、アメリカ国債の売買が薄くなり、株価が上がって、アメリカ国債の金利も上昇するという、摩訶不思議な現象が起こるのです。通常は株価が上昇すれば金利は低下するのが普通なのですが、株価も金利も上昇してしまうという不思議な現象の結果が先週の動きになります。

現状のドル円は、アメリカ10年債の動きに支配されている現状を勘案すれば先週の115円というのは、間違いの可能性が高いということになります。