Photo Reuters.com
日本と同様に英国では年間の流行語が毎年11月には発表されています。
昨年の流行語は
「Post Truth」で国内における
「神ってる」や
「ポケモンGO」に比べれば数段政治的でブラックジョークを反映したものになっていることがわかりますが、昨年のPost Truthは客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治的に影響を与える状況のことをさすことばで「
BREXIT」でEU離脱をあっけなく決めてしまった英国と、まさかのトランプが選出され新たな保守主義の道を歩むことになった米国の状況を色濃く表したことばとして2016年の流行語に選ばれることとなったわけです。
このPost Truthを象徴する国の指導者が顔合わせをすることとなったのが28日に実施された英米首脳会談でした。
自国優先主義の国同士の親和性は高い?
今回トランプ氏は大統領就任後初めての外国首脳との会談を安倍首相ではなく、英国のメイ首相を優先する形でセットしたと言われていますが、EU離脱後孤立しないためにいち早く主要国と二国間貿易協定を結びたいメイ首相と、独自に各国と新たな貿易協定を結びたいトランプ大統領の思惑が一致した会談ということになったようです。
ただ英国は正式離脱がEUと合意に至る前に米国と独自の二国間貿易協定を結ぶことはできませんので、用意だけしておいて離脱後するに履行を目指すことになるものと思われます。
会談後の記者会見では両国ともに関係を強化する旨を強調し、エリザベス英女王がトランプ氏に年内の訪英を要請し、トランプ大統領がこれを受け入れたことも明らかにしています。
EU離脱を考えれば仲良くせざるを得ない英国
ハード「BREXIT」を表明した英国のメイ首相にとってはいち早く超大国である米国と二国間貿易協定を結ぶことが英国に対する経済界の不安を払拭できることから、とにかく米国との親和性を協調せざるを得ない状況であろうとは思いますが、サッチャーを超える厳しさを持つメイ首相が個人的に女性を蔑視しあきらかに様子のおかしいトランプを心底尊敬し共感しているとは到底思えない状況です。
ロシアをめぐっても英米のスタンスはかなり異なるものであることから、二国間協定締結だけを睨んだかなり打算的な会談であったとも言えそうです。
為替の面では保護主義国同士がどう折り合いをつけるのかも注目
英米首脳会談は比較的揉め事も表面化せず友好的なムードで終焉していますが、トランプが口にしている通貨安誘導に関する制限付二国間協定といったもをを視野に入れた場合、双方ともに自国通貨安を望む英国と、米国がどのような折り合いをつけていくかも注目されるところです。
ただ、中国や日本と比較した場合その貿易額はそれほど大きくないわけですからトランプにとっては目くじらを立てるほどの存在ではなく、むしろ対EU戦略上で考えればできるだけ英国と近しい関係を維持しておきたいということも考えられ、よくありがちな打算的な関係が今後も継続しそうな様相です。
今後為替は通貨ペアごとに政治的状況が色濃く影響しそうな気配
為替の世界でいいますと、国内の個人投資家はそれほど積極的にポンドドルの取引を行ってはいませんし、ユーロポンドに比べればその影響は軽微ではありますが、今後ドルストレートでも個別の国ごとに様々な政治的状況がその価格に影響を与えることはどうやら間違いないようで,対人民元、対円でトランプがどこまで強行的な態度をとるのか?
また通貨水準に対しての許容範囲といったものをどう具体的に求めてくることになるのかが非常に注目されるところです。目先で注目されるのは、やはり2月10日に開催される日米首脳会談で、こちらが今回の英米首脳会談のようにスムースに進行するのかどうかが大きなポイントになりそうです。