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昨年末、市場が大いに期待したNYダウ2万ドルはようやく25日のNYタイムで達成し、ザラ場のみならず終り値で2万ドルを越えて終了しています。
結局トランプの大統領令を好感してとうとう2万ドル台をつけたことになりますが、既に2万ドルは通過点でしかなく、ここからどこまで買いあがれるかにに注目が集まることとなります。
本日日経平均がこれをどこまで好感して買い上がることができるかに市場の関心が集まりそうですが、相場もアメリカファーストで他国はさしてその恩恵をあずからない可能性もありここからの動きが非常に気になります。
NYダウ2万ドル、ドル円120円、日経平均2万円は幻想か?
昨年末根拠無き熱狂相場で株も為替も大きく走り始めたときには年末NYダウ2万ドルは間違いなく、ドル円は120円超、日経平均はそれに合わせて2万円を突破するといった見方がかなり強くなったものでしたが、結果はどれも届かず、年明けからはトランプの登場によるネガティブな材料だけに市場が反応するようになり、為替ではドル円の120円などは遠きにありて実現しないものとなってしまいました。
どうやら相場の世界でも米国だけが好調を享受することになり、ドル円や日経平均はその流れのご相伴にあずかってすぐに上伸するわけではなさそうな動きになってきているようで、トランプ時代の相場展開は益々難しくなってきていることを実感させられます。
とくにドル円はトランプが口を開くたびにドル安を意識させられる酷く怯えた相場展開になってきていることからNYタイム、日本時間の午後9時以降から翌朝の明け方ぐらいまでは余分なツイートのつぶやきなどに相当気を使わなくてはならず、この時間帯にドル円のロングを保持したまま放置しておくのことは潜在的な取引リスクになりつつあります。
昨晩もNYダウ2万ドル乗せにあわせてドル円が大きく上昇することはなく、114円を前にしてこの壁を突破できずに下落して終了しています。
日経平均は先物で160円程度上昇していますので一定の上昇が見込まれることになりそうですが、日経平均の場合NYダウが半分、残り半分は為替の円安が先導している指標ともいえることから、ダウの上昇だけで2万円をつけることは難しく、年末の浮かれ相場が完全に夢の状況であることをあらためて思い知らされます。
ヘッジファンドですら短い時間足で短時間売買をしている模様
とにかくトランプが登場して以来ドル円相場は上下に振らされる展開が連日続いており、下げても下がらないと「ショートカバー」が出て、あげてもあげきらないとロングが投げさせられるという激しい状況が1日に何度も示現するため、よほど資金を厚くして安易に損切りをしないようにするかスキャルピングのようにごく短時間で利益を積み上げるようにでもしないと、相場で長くポジションをもっている売買法自体が大きなリスクになりつつあります。
「ボラティリティ」の出現をこよなく愛する存在のはずの「ヘッジファンド」勢もさすがの上下ぶれまくりトランプ相場にはまいっているようで、一説によるとほとんどのファンド勢は日足からもっと短い時間足で短期間売買に専念することでこの相場のリスクを回避しようとしているようです。
プロでもこの調子のわけですから、我々個人投資家もそれなりの対抗策を考える必要があるのは当然で、いままでと変わりない取引だけでこの相場を乗り切れるとは思わないほうがよさそうです。実際先週あたりの相場の乱高下で個人投資家は想像以上にやられてしまい、市場は相当痛んでいるという話しも伝わってきています。
ダウ2万ドル時代を横目に睨みながら改めて為替の売買戦略を考え直す時期がやってきているといえます。為替相場の激変で利益を上げられるのはせいぜい全体の2割であり、残りの8割以上は損失を被っておしまいです。
残念ながらその8割のうちの多くが個人投資家であるという厳然たる事実を直視する必要があります。
(この記事を書いた人:今市太郎)