トランプ政権がスタートしてからというものご本人のツイートやメディア報道、ならびに閣僚および予定者の発言の一挙手一投足で相場が上下に振らされる実にやりにくい展開が続いています。
どうも「ヘッジファンド勢」もこうした材料を旨いこと利用して、ドル円を売り浴びせようとしている気配濃厚で、かなり注意が必要になってきています。
ムニューチンの書簡すっぱ抜きでドル円は大幅下落
24日もやはりトランプ閣僚予定者に関連する発言内容からドル円が大きく売り込まれることとなり122.500円に迫るほどの下押しを示現することとなりました。
次期米財務長官に起用され指名承認待ちの「スティーブン・ムニューチン」が、「過度に強いドル」は同国経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性がある。
との考えを米上院議員からの質問に書簡で回答したことを「ブルームバーグ」がすっぱ抜いたことからドル円が大きく下落に走ったもので、一見するとドル高を容認したのに言っていることが違うではないかとも思われます。
しかし、よくよく読んでみますと、ドルの強さは歴史的に米経済の強さや、米国でビジネスを行っている投資家の信頼と関連してきたものの、時折、過度に強いドルは経済に短期的にマイナスの影響を与える可能性があると述べており、結局短期的にはドル安論者であることを明確にした内容となっていることがわかります。
もともと強いドルというのは歴代の財務長官が口にする言葉ですから、特に驚くべきものではないのですが、短期的にはドル高はよろしくないとはっきり書簡で述べたことにより、今後トランプ政権がドル円についても円安の是正と日本に迫る可能性があることを改めて認識する次第となったわけです。
中国の為替操作問題にも懸念を表明
このムニューチンは中国の為替操作の問題についても懸念を表明しており自由貿易の原則の深刻な違反であり、効果的な対応が必要として検証する意向を明らかにしています。
どうやらこの人物は完全のトランプの意向をうけてそれを実現する役割を果たすことになりそうで、人民元・ドル相場の操作を目的とした為替市場での中国の介入の慣行による米経済への打撃を分析する方針であることも明確にしています。
トランプのツイートとともに市場を震撼させる不意打ち報道
このコラムでも毎回ご紹介していますが、とにかくトランプのいきなりのツイートに加え、閣僚関連の不意打ち報道が出ますと、相場が持ち上がることはほとんど無く、毎回大きく下落するリスクオフの動きになってしまうことが非常に気になります。
特にドル円はトランプ関連でドルストレートの中でももっとも動きやすい通貨ペアとなってきていますので、売りで参入しているときには思わぬ利益にありつくことも可能になりますが、買い向かっているときには相当注意が必要になりそうです。
トランプが寝ている東京タイムの午後遅く以外はいつでも危ない時間帯になっているのが実情で、FXの取引は当分やりづらいものになりそうな気配です。
また上述のように閣僚の発言やトランプを発言を利用して売り仕掛けしてくる投機筋の存在も常に意識しておかなくてはならない状況です。
トランプ政権のスタートで過剰な期待は剥落するであろうことは容易に予想されましたが、ここまでネガティブな材料にだけ市場が反応してことある毎にドル円が売り込まれることになるとは思ってもみなかった展開です。
困ったことにこうした相場の動きはトランプ政権の初期にだけ示現するならまだ我慢もできますが、下手をすればトランプの任期中ずっと同じようなことになるリスクもあり、なんともやりきれない状況になりつつあります。
(この記事を書いた人:今市太郎)