トランプ自ら幕引きとなった熱狂相場

トランプ初の記者会見を受けて大きく下落したドル円相場でしたが、その余波は翌朝の東京タイム以降も治まるところを知らず、一旦115円台半ばまで戻したことからそれほどの影響ではないのかとも思われましたが、結果的には再度114円台方向に下落することとなり12日の午後5時すぎにはとうとう117.746円まで下値を試す展開になってしまいました。

これは記者会見直前の期待相場の高値から実に3円も下落したことになり、想像以上にトランプ会見に対する期待の剥落感が大きかったことを示すものとなってしまいました。

この底値のレベルは毎回ご紹介しております月足の20ヶ月移動平均のレベルでありこれを月末明確に下抜けることになれば円安トレンドは一旦終了でほとんどの投機筋が手持ちのポジションを投げてくるレベルとなることからかなり注意が必要になってきています。

トランプ発言のトーン＆マナーに違和感を覚えた市場

昨日の記者会見のような不満表明会のようなイベントを見ていた市場関係者から聞こえてくるのは、経済政策に対するの言及がなかった失望感もさることながら、依然として大統領の器に足る存在なのかどうか大きく疑問視させるようなトランプの感情的な発言のほうに注目が集まったようで、政策よりもご本人の存在にあらためて大きなリスクを感じた視聴者が多かったことが、相場の動きにも明確に現れた印象があります。

残念ながら今回の会見をもって、これまで妙に浮かれ続けてきたドル円の上昇相場は完全に息の根を立たれた格好になってしまい、トランプ自らがその幕を閉じることとなってしまいました。

118円台中盤から考えれば昨日の最安値はすでに5円近い下落となっていますが、11月9日からの一方的な上昇は17.4円もの値幅を持っているものですからここまでの5円足らずの下落で一息ついたとは到底思えない状況で、さらなる下落を覚悟せざるを得ないところにさしかかっています。

さらなる相場下落は1月20日前にも起こりそうな勢い

ここからはとにかく大きく戻ったところはしっかり売りから入りたいところですが、さらなる下落は1月20日の就任式当日に示現する可能性もありますし、前倒しでその前にすでに大きく下落してしまうリスクも否めない状況です。

こうなると下落のめどが気になりますが、昨年11月9日から12月15日の高値までの上昇をフィボナッチリトレースメントで追ってみますと、3分の１戻しで38.2％戻しで111.986円、半値戻しなら109.924円で、さらに61.8％戻しまで下押しした場合には107.861円レベルが見えてくることになります。

特にこれまで買い上げの主体となってきた投機筋に明確な投げがでてくることになれば109円を下回る可能性はかなり高くなりそうです。

政権誕生から100日間はメディアも特別攻撃しないというのがこれまでの慣例であったようですがCNNなどは名指しでいきなり攻撃を受けていますから、アンチトランプの勢力は最初からトランプ政権に攻撃してくるリスクも高まっており、この政権は従来にないような危うさをかかえたスタートになる点がなんとも心もとない状況です。

選挙対策用にエキセントリックに振舞っていたとされるトランプの言動もどうやらそうではないように見えますし、なによりいろいろ緻密に計算して発言されているものだという深読みも市場には出回っていますが、12日未明の会見の発言と表情を見るかぎり、かなり現象的に飛び出してきていることが容易に理解できますので、まさに先が思いやられる状況です。