今朝の深夜1時から始まった初のトランプ記者会見はご覧になった方も多かったことと思います。まず開口一番メディアの対応に喧嘩越しで突っかかった辺りからかなりの違和感を感じましたが、会見全体がやはり普通ではない印象を強くもった内容となりました。
今回の会見の内容は、まず事業家が多く政治の世界に入ってきたことから倫理的な部分でしっかりけじめをつけていることを強調するために実施されたものであることは理解できました。
しかし、依然としてメキシコの壁の話は持ち出す始末でしたし、大統領選のときのエキセントリックさはわざとやっているものだといった論評がありましたが、実際に就任が近くなっても実はあまり変わらない存在であることが今回の会見で明らかになったといえそうです。
ドル円相場は期待剥落で大幅下落
今回の会見では経済政策やインフラ投資の話が出なかったことから期待が剥落する形となり、一時114円をも割り込みかねない下落を示現することとなってしまいました。
会見前には期待感からか116.868円まで買い進まれた相場でしたが、結果的には2.5円もの下落を果たすこととなってしまったわけです。
この会見内容でここまで嫌気されるものなのかとも思いますが、ひとつにはやはりトランプの会見のトーン&マナーを市場がかなり嫌ったことがこうした相場展開を導き出してしまったものと思います。
とにかく気になるのは、今後ツイッターの呟きにしても記者会見にしてもこの調子で勝手なことを一方的にまくし立てる方式が継続しそうなことで、為替相場は毎日相当な影響を受けることになりそうな嫌な予感がしたのは私だけではなかったのではないでしょうか?
これまでのプロの政治のインサイダーとは異なる動きをするという点ではある意味斬新とも言えますが、相場に影響を与える存在としてみるとかなり迷惑な人物になることはほぼ間違いないのではないでしょうか?今回の相場の下落はまさにそうしたことの予兆となる動きにもみえました。
1月20日を待たずに期待剥落相場スタートか
この会見を見た多くの個人投資家が一様に感じたのはこの先相場がどうなるのかということではないかと思います。
会見直後ですら相場が上がるのか下がることになるのかさっぱり判らなくなりましたし、チャートの動きを見ていた感じではドル円は114円すら割り込んで月足の20ヶ月平均を下回る流れに転換してしまうのではないかとすら思われる動きになってしまったのはかなり印象的でした。
既にぼんやりとした期待感から買われる相場は完全に終焉した感が強く、1月20日の就任時も期待感から果たしてドル円が買われるのかどうかかなり疑心暗鬼になる状況といえます。
既存のメディアに対する敵対的な姿勢がツイッターの利用を多発させている感が強く、今後さらにこのやり方がエスカレートすることになるとすれば、トランプが発言するたびにリスクオフになることも考えられ、為替相場には予想をはるかに上回る影響がでることになりそうです。
大統領の存在自身がドル安要因というのは政権にとってはこの上なく都合のいいことなのかもしれませんが、ドル円を扱う個人投資家は相当ここからの売買のやり方を考えなくてはならない時代に突入してしまったことを強く感じる次第です。
少なくとも足元の状況ではドル円は120円を大きく超えていくようには見えなくなりましたし、下手をすれば11月から上昇してきた部分をもっと吐き出すことにならざるを得ないようにも見えます。
チャート的には上方向よりも下方向の動きを心配する必要がでてきてしまった状況で、一夜にして様変わりとなったようです。ここからはさらに先入観を排除して冷静にチャートに向き合うことで上下どちらの動きにも対応していけるようにする心構えが必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)