2016年の為替相場はだれも想定しなかったような大相場となってしまいましたが、クリスマス前後から静かな動きとなりドル円は12月30日のNYタイム終り値でぎりぎり117円台をつっかけて終了ということになしました。
2017年の正月は曜日のならびから欧米でも2日が振り替え休日ということになりますので、3日からのスタートで、本邦勢が登場する前に大きく相場が動いてしまうという心配はそれほどない状況ですが、結局年足では昨年の始まり値に届かず、陰線引けで終了することとなりました。
月足では依然として買いトレンド維持のドル円
このコラムでも毎回ご紹介しています日足の20ヶ月移動平均線と相場の関係でいいますと、11月末にこの20ヶ月移動平均線を上抜けてから12月末もその状態を維持しており、ドル円は依然として戻り売りではなく押し目買いの動きになっていることがわかります。
このチャートを見ていただきますと、2012年末から翌年4月に向けて毎月陽線で相場がぐんぐん上昇した時期と、2014年の10月末から同年12月までの黒田バズーカ2で大陽線がたっているのがよくわかりますが、それと比べても2016年11月の陽線の立ち方が異常なほどの上昇力をもっていたことがとてもよくわかります。
2017年についてもこの20ヶ月移動平均線を割り込まない限りは依然として相場は上昇することを考えておく必要があるということになります。
週明けいきなり下げ始めるかどうかに注目
12月の27日からは実質欧米勢は新年度入りとこのコラムでお伝えしてきましたが、やはりクリスマス直後は動かなかったようで3日の立ち上がりから、ドル円は上昇で始まるのか下落するのかが非常に注目されます。
ドル円を日足のボリンジャーバンドで見てみますと、クリスマス前に+1σを割りかかったものの、結局クリスマス明けにこのラインを割り込み、最後の数日でセンターラインぎりぎりまで下押ししながらも117円台をぎりぎり保って終わったことがわかります。
今のところボリンジャーバンドの幅は保たれていますが、11月のバンドウォークのような勢いは残念ながらとぎれた感じで、上方向を試すのであればこの+1σを超えたところでチャートの形状をみながらエントリーしても遅くはなさそうです。
いい円安で上昇できるのはせいぜい130円まで
本来円が売られるというのはいろいろな意味で国に力がないことが起因しているわけですが、昨今の状況では金利差が明確に為替の動きになってきていますので相対的な関係でドルに対して円安が示現することも十分に考えられます。
しかし本当に日本売りになってしまいますとより大きな円安と株安がいっぺんに現れることになりますので、こうなると140円、150円といったとんでもない数字が登場する可能性も高まります。
足元で相場の相対的な状況から示現しても許容範囲となるのはせいぜいドル円130円程度であり、2017年にそれを超えるような事態が発生するとなればファンダメンタルズを再度検討しなおす必要がでてくることになりそうです。
今年のドル円の値動きが22円強ぐらいの値幅になったことを考えますと、年明け早々に120円をつけることができたとしても下値は100円割れぐらいまであっても決しておかしくないのが今の相場状況ですから、ここからはあまり先入観をもたずに、あくまで動く方向について行き、細かく利益を積み上げることで、相場の変化にしっかり対応できるようにすることが重要になりそうです。
米国債10年もの金利もかなり落ち着きを取り戻した状態
12月に入ってから一瞬2.6%を超えるところまで上昇した米国債10年ものの金利ですが既にピークアウトをはじめており、新規国債の入札も順調である田め、ここからさらに上昇しそうには思えなくなりつつあります。
一説には、中国がドルを獲得するためにこの時期積極的に手持ちの国債を売ったのではなないかという話も出てきていますが、この11月からのドル円の上昇とそれを先導する形で上昇した10年債金利の上昇には結構それなりの裏が潜んでいるのかも知れません。
いずれにしても個人投資家はいくら憶測したところで儲かるわけでもありませんから、あくまでリアルタイムの情報に基づいて適宜判断を続けていくしかなさそうですが、この利率が年明けも下がりはじめると、相場の流れはまたがらっと変化しそうな状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)