21日まではそれなりに動いた為替相場でしたが明日は日本がお休み、米国も短縮相場ということですから、ここからポジションを作っても仕方ない状態で、クリスマス明けに最後のラストスパートがあるのかどうかに注目ポイントが移ることになります。
さしもの投機筋も閑散相場には打ち勝てず
NYダウは2万ドルまでほんの十数ドルということでいきなり大台に乗せるのかと思いましたが、一定の利益確定売りもでているようで簡単には突破できない状況です。
またドル円も大きくは下がらないものの、何もない中でいきなり買いあがりが始まる相場でもないことから、週明けを睨みながら高値圏で待機するような形になるのではないかと思われます。
日足のボリンジャーバンドで見ても、+1σを割り込みそうな状況で、一旦は相場の上昇が明確に沈静化していることがわかります。
昔から閑散に売りなしと言われるように、大きく下げるわけでもない相場はとりあえず来週のクリスマス明けまではこの調子で滞留することが予想されますが、年末最後に欧米の相場主導でもう一段浄書うすることになるのかどうかはまだはっきりとはわからない状況です。
トランプ政権スタートはやはり想像以上のリスク
トランプが台湾と電話会議を行って、中国はひとつではないと挑発をはじめてから、かなり米中関係は様子がおかしくなりだしていますが、市場はまだ明確なリスクとみなしてはいない状況が続いています。
ただ年明けになると閣僚の指名も正式決定することになるわけですから、年内までの楽観的な見方から市場がいきなり現実に引き戻されることも想定され、年明けからいきなりセンチメントが変わるリスクも考えておく必要がありそうです。年内の高値をさらに超えて1月20日までは相場が上伸することになるのか、はたまた年明け早々から下落するのかどうかが非常に気になるところです。
ちなみに昨年の今頃ドル円相場はどうだったのかを見直してみますと、上のチャートはちょうど一年前を示したものとなりますが、12月18日に大きく値をあげた相場はその後下がりだして年明けからは1月29日の「日銀政策決定会合」で「マイナス金利」が登場するまでは下げを継続することになりました。
こうした1月のドル円の方向転換は今年の1月を含めてここ3年毎年起きているもので、すでに「アノマリー」化していますが、果たしてこの動きが今年も登場するのかどうかが大きなポイントになります。
新興国通貨は米国利上げを受けて軒並み下落
これまた足元の市場ではあまり気にされていないことですが、新興国通貨は米国の利上げ以降軒並み下落しており、今年の年明けならば明らかに市場が嫌気する材料になっていることは間違いありません。
このあたりも年明けから本格的に材料視されることになれば、ドル円も上昇が続かないことなるのは時間の問題で、ここからの相場は何が材料視されてくるのかに大きな関心が集まることになります。
事前の思い込みはできるだけ避けて、動く方向についていく姿勢が重要になりそうな年明け相場です。
昨年「イエレン議長」が気にしていた新興国経済の状況に今年はまったく関心が行かないというのは実に不思議ですが、市場が大きく減速することになれば、あらためて材料視される可能性がありそうです。
トランプ相場による株とドル円の上昇のおかげですっかり市場のセンチメントが一新してしまったかのような錯覚に相場全体が陥っている気配濃厚ですが、この相場は依然として「中央銀行」による著しい量的「金融緩和」によってもたらされ、継続しているものですから、金利の上昇という大きな変化が起きれば自ずと相場の動きも変化することだけは肝に銘じておかなくては成りません。
その兆候をつかむためにも、年末年始相場はよくチェックすることが必要となります。
(この記事を書いた人:今市太郎)