さすがに年末が近づいて為替相場も閑散としてきていることからスキャルピングのような取引でないかぎりなかなか利益の出せない状況になりつつありますが、大統領選挙年にはドル円に関してひとつの「アノマリー」が存在します。
それは大統領選年のドル円は年間の高値もしくは底値を10月から12月につけるという「アノマリー」です。
今年はこの「アノマリー」がワークするなら最安値ではないかと思っていたのですが、実は高値のほうが現実のものになるかもしれない状況で,果たしてこれが本当の話になるかどうか注目が集まります。
昨年の2倍の幅をきっちり往復したドル円
今年のドル円を日足で追ってみますと、1月21日の日銀政策決定会合でまさかの「マイナス金利」が登場したことから驚いた市場は一旦買い上げそのときのピークとなった121.689円が今年の最高値となりました。
その後一貫して200日移動平均線を割り込む形となり、春先から秋口までほとんど110円以下のレベルで長く推移することとなってしまいました。7月21日、なぜか「FRB」前議長のバーナンキが来日したことから突然「ヘリマネ」期待の買いが入りましたが、107.490円まで戻した後、相場は低迷を続け、トランプ勝利が確定するまでは、100円抜けのほうが現実味のある動きとなっていたわけです。
ところがご存知のとおり11月9日の大統領選挙結果をきっかけにほぼ全値戻しに近いところまでたったの1ヶ月半程度で戻して現在に至っているのです。
あらためて2015年の相場の動きと比較してみますと、全くその動きが異なっていることが理解できます。
あえて縦軸のレベルを2016年の幅に合わせてみますと、2015年は10円強の動きしかしていなかったわけですから120円をはさんだレンジ相場を延々とやっていたことが改めて理解できます。
長くこの相場になれている本邦勢の個人投資家が値ごろ感からこの秋のトランプ相場で悉く高値で逆張りから相場に入りたがるというのも、こうしたレンジの習慣が長かったことが起因している可能性がありそうです。
往復してもどった2016年のドル円相場は実に2015年の4倍近い幅の動意があったことになり、利益機会も損失機会も非常に大きなものになったことだけは間違いありません。
アノマリー通りならば年末121.69円超か
この米国大統領選年「アノマリー」が今年もワークするのであればドル円は年末に121.69円を超える必要が出てくることになります。
足元の118円初頭を彷徨っている状態からするとちょっとハードルが高い気もしてきますが、ここのところ1日で3円上昇することもありましたから、まったく可能性のない話でもなくなってきている状況といえます。
ただ、さすがの「アルゴリズム」と言えどもなにか指標なりイベントなりがあって動意づくもののようですから何も材料がないままに3円買いあがるのは結構至難の技ということになりそうで、年末ぎりぎりの需給やそれ以外の好材料がでてきたときに明確な上伸の動きとなることが期待できます。
果たしてここからそうした材料が登場することになるのかどうかも注目されます。今年はクリスマスが25日の日曜日にあたることから23日が米国では短縮取引、26日が振り替え休日、27日がボクシングデーのお休みということで、28日から4日間に欧米勢がスタートダッシュを切ることができるかどうかということが最大の問題になりそうです。
M&A関連の月末需要が日本サイドから顕在化するようなことになれば、かなりの動意になることも予想されますが、果たしてそうした動きになっていくのかどうか、とにかく相場を見つめ続けるしかない状態です。
108円台から戻り売りをしかけてしこっている本邦の個人投資家のポジションはまったく解消されていないようですが、ドル円が121円台に持ち上がった場合強制ロスカットなどが頻発してしまうと意外にそれよりも「オーバーシュート」気味に推移することも考えられますので、あまり断定的に考えずに年末ぎりぎりまで相場を見守っていくことが重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)