週明けのドル円、ユーロドル相場もまたドル高が継続しそうで、薄商いを狙って思い切り買い上げが進みそうな嫌な予感がしています。
ドル高の中でも非常に顕著なのはドル円の動きといえますが「アルゴリズム」を多様する米系ファンドが暗躍していることは間違いないとしても、資金的にここまで買い上げることができるものなのか非常に疑問が沸くところです。
強引な買い上げの手口は米系ファンドらしい手口だが・・
11月9日からのドル円の動きを見ていますと、やはり「イベントドリブン」でなにかあるときにかこつけて大きく買い上げる動きが目に付きます。
米系ファンドの「アルゴリズム」らしい動きが出るのはNYタイムの始まりなどにかけて爆発的に買い上げていく動きで、その買い付け額は2倍、3倍、4倍といったように買い足して一気に上昇させてしまうという人間の裁量取引にはないような動きを見せているのが今回非常に目立ちました。
もちろんひとつのAIアルゴリズムが発動すれば、ほかの「アルゴリズム」がその動きについていき大きな流れになるというのは容易に想像できるものですが、ドル円を買い上げてくる資金量は過去1ヶ月尋常ではないものがあり、これまで想定した市場参加者とは異なるプレーヤーが存在しているのではないかと疑わざるを得ない状況になりつつあります。
M&A絡みなどで時限性のあるドル転事情の案件
既に市場で語られ始めているのはM&Aなど時限性が高く、価格がなんであろうととにかく一定の期日までに円をドルに転換しておかなくてはならない事情をかかえた売買が結構存在するのではないかという話です。
下値で一定の買いを入れてまっていても下がらないので上伸しはじめると仕方なく買いでついてきてしまうという話は理解できないものではありませんが、果たしてこうしたプレーヤーが「アルゴリズム」の動きに敏感に反応して買いに追随するものなのかは俄かには信じられない状況です。
米系、欧州系ファンド以外の存在が買い上げに参戦している?
ひとつ考えられるのは、米系ファンドや欧州系ファンドとは別の存在がドルを買い上げている可能性です。今年のはじめは原油安から資源国のソブリンファンドが大きく日本株を売り飛ばして換金するという異例の事態が発覚して話題となりましたが、今回のドル円主体のドル高にこうしたこれまで登場しなかったプレーヤーが参戦しているとすれば足元の動きの理由ももう少し理解しやすくなります。
それではだれが買っているのかという話ですが、ぽつりぽつりと話が出始めているのは中国の存在です。
このコラムでも中国から資金が逃げ始めており、人民元は対ドルでも対円でも大幅下落の途上にあり、もはや中国政府としても買い支えることができない状況に陥っている話はとりあげていますが、仮に中国の当局が人民元を支えるのを完全に諦めて人民元安による輸出の増加策で安易に外貨獲得に乗り出しているのだとすれば、今の相場の動きにも合点がいく部分が非常に多くなります。
トランプ大統領が決定してから、すでに台湾との電話会議などでかなり中国はイラつき始めており、16日のNYタイムには中国海軍が南シナ海の国際水域で米海軍の潜水無人機(ドローン)を接収したとの報道も出始めています。
世界中を見渡してみても為替市場に大量を資金を投入して暗躍する存在がいるとすれば中国がソブリンファンドなどを使ってなにかやらかしているというものかなりうなづける話ですが、なにぶん為替の世界ではこうした明確な証拠が出てこないのであくまで推測に過ぎない状況です。
ただ、何か状況が変化していることだけは間違いなく、その理由が何なのかはこれからも冷静に市場を見続けていく必要がありそうです。
ところで国内では逃げ恥の恋ダンスが大流行ですが、ネット上ではトランプと台湾の蔡 英文、そして中国の習近平がこの恋ダンスを踊るというパロディ映像が人気になっています。お暇なときにごらんいただければと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)