16日の東京タイムにおけるドル円は前日驚くほど買いあがったのとは裏腹に、既にクリスマス前の相場のピークが前日に終わってしまったかのような動きに終始することになり、明らかに前日木曜日に多くの投機筋が既に利益確定を行ったと思しき閑散相場を継続することとなりました。
もちろんまだ時ドル円の上昇相場は終わったわけではありませんが、16日の「London Fix」以降久々に117円台中盤まで崩れたドル円は、さすがに一本やりで120円を目指すわけではないことを強く市場に示唆することとなりました。
一旦下落したドル円ではありますが、117円50銭を切れるレベルでは「実需」を含めて需要が旺盛であり、一旦ピーク感があるにも係わらず大きく下押しはしない状況がつづいています。
本来は申し少し下押ししたほうが飛び上がる原動力になるものと思われますが、どうも市場の買い意欲は相当強いようでここか大きな調整を望むのはむずかしそうな状況となってきているようです。
ただし、相場はかなり薄くなっているようで基本は動きませんし、ちょっとしたオーダーが入るたびに飛び上がるように相場が上昇するようになっていますので、週明けからクリスマスまではかなり注意が必要な状況になりそうです。
ドル円はNYダウを睨みながら展開している気配濃厚
NYダウのほうも週末を迎えて一旦利益確定売りがでているようで2万ドル超も近くて遠い状況になっていますが、買い上げているのはドル円を扱っているファンドの可能性が高く、そう簡単には上伸させられないまま金曜日の取引が終了することとなっています。
ドル円はドルストレートの中でも飛びぬけて上昇している通貨であり、市場では徐々に高くてもドル円を買い向かう向きもかなり増えてきていることから、いつ120円に到達できるのかは依然よくわからない状況がつづいているといえます。
逆にNYダウ2万ドルが達成されれば、それなりの達成感がでることから株価が売られ、ドル円もその動きに追随する危険性も残されます。
来週は日銀政策決定会合がきっかけに使われるかどうか注意
既に市場ではほとんど注目されなくなっていますが、来週は「日銀政策決定会合」も開催されることから、これがなんらかの円買いや円売りに使われる可能性に注意が必要となりそうです。
足元ではごく僅かではありますが、日本国債の金利が上昇しはじめており、この点を記者会見で黒田総裁が問い詰められるようなことになれば円売りに思わぬまき戻しが示現するリスクも考えなければなりません。
ただ、今後金利が上がっても「ヘリマネ」を実行してでも「ゼロ金利」へ釘付け政策を継続するといった発言がでれば逆にファンド勢が絶好の買い材料として利用することも考えられ、あっさりクリスマスの前に120円の大台に乗せてしまうのかもしれません。
ドル円は上昇するといってもなんらかの材料を買いあがるタイミングに利用していますので、「日銀政策決定会合」はそうした機会として使われてしまう可能性があることを意識しておかなくてはなりません。
120円を超えれば125円という全値戻しすら見えてくる
個人的にはまったく納得がいきませんが、このままごく近い未来にドル円が120円に到達してしまいますと、さらに「オーバーシュート」気味に125円という2015年の最高値に全値戻ししてしまうことも考えておく必要がありそうです。
但し要人からいよいよドル高に対するけん制が飛び出すのも時間の問題になりつつあります。
トランプ次期大統領は「ゴールドマンサックス」の社長兼COOのゲーリー・コーン氏を国家経済会議の委員長に正式指名することとが決まっていますが、この人物は日常的にドル高の弊害を口にしてきているだけに、正式指名となれば、必ず何か言い出すのはほぼ間違いなく、トランプ自身よりも周辺の閣僚から横槍が飛んでくることは覚悟しておかなくてはならなさそうです。
いずれにしても市場はかなり流動性を欠いており、上げと下げの両方が示現するやりにくい相場が継続しながらクリスマスを迎えることになりそうですので、利益が出ている方は大きく下げたところだけを狙って買いを入れるようにし、あとは様子見を決め込むほうが無難かも知れません。
(この記事を書いた人:今市太郎)