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9日ドル円がとうとう115円台に乗せて引けている為替市場ですが、米国株式市場も恐ろしいほどの堅調ぶりで、1万9000ドルを超えてからはあっという間に1万9756ドルまで上伸中であり、2万ドルまであとたったの250ドルあまりのところにさしかかってきています。
この調子であれば年内、いや週明け早々にも2万ドル超達成となりそうな勢いですが、今年利益に事欠いている投機筋が一斉に利益確定に回ることで相場が一変するリスクに注意が必要になってきています。
さすがに期待だけでここまで上昇した相場は明らかにやりすぎであり、過熱感も相当高まっている状況ですから、クリスマスにかけて市場参加者が大きく減ろうとしている中にあっては、逆に価格の調整が入らないことにはさらなる上昇も見込めないところまで差し掛かってきています。
データ Pwalker
チャートを見ていただけばお分かりのとおり、この一週間あまりで600ドルぐらい簡単に上昇しているわけですから、買いもち状態の投資家は大きな含み益を出しているのは間違いなく、年を越す前に利益確定がでても不思議ではありません。
特に利益に乏しかったファンド勢がトランプ政権のスタート前に利益確定しておきたいと思うのは当然の話であり、金利の上昇とともに115円を回復したドル円にも同じことが言えるものと思われます。もちろん日経平均も同様で、そろそろ売り時がちらつき始めているといえます。
NYダウのピーク時にドル円もピークになる可能性
当然のことですが、ダウが一旦ピークをつけて下落する局面ではドル円にもピーク感がでる事は間違いないものと思われます。
週明けからさらに116円方向に向けて上昇することは十分にありそうですが、ダウにピーク感がでるときに一体ドル円がどのレベルまで上昇できているかが問題で、ここから120円が上値とか117円までは行くといった断定だけはしないほうがよさそうな状況ですが、突然上昇が打ち止めになる可能性だけは意識しておく必要がありそうです。
上値を逆張りで売る個人投資家も依然として多いものの、実需を中心として下落局面を拾う向きも逆に多いことから下落が始まっても期待したほど大きな下げにはならないことももちろん考えられます。
「FOMC」を境にして相場の雰囲気が変わるのかどうかについても注視していきたいところです。
トランプフレーションの悪影響がでる時期は近い
足元の金融市場は債券金利が上昇しているにも係わらず株価は暴騰し金利につられてドル円も上昇していますが、「FOMC」が12月に利上げを実施し、その後も「インフレ」の可能性に応じて利率を上げることになれば、米系企業の利益に影響がでることは間違いなく、しかも資金調達コストの上昇から自社株買いも減少することが予想されますので、株価はいよいよ下落局面に向かう時期が近づいていると言えます。
利上げの初期段階にはこうしたつじつまの合わない状況が示現するものですが、過去にもこうした状況は必ず解消されており、年末はなんとか継続しても年明け早々に調整がでることにも警戒が必要になりそうです。
過去3年、年明け早々はドル円下落というアノマリーも
これまで「アベノミクス」で順調に上昇した時期であってもドル円は年初に一定の下落をしてきており、ここ数年で年初は円高という「アノマリー」もできつつあります。来年が果たして同様の動きになるかどうかはわかりませんが、こちらも一定の注意を払っていく必要があります。
このコラムでも値ごろ感で売るべきではないと何度も申し上げてきましたが、オシレータ系の指標でもそろそろ一定のピークに達してきているようにも見え、週足ベースではまだまだ上昇余地があるものの、日足で考えるとこれまで利益がでているのであれば、利益確定をしてよくばらない方法を考えたほうがいい時期なのかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)