アメリカの株式が軒並み新値を更新し、世界は「リスクオフ」に入っているように見えます。
そんな中で日米欧の先進国の金融政策決定会合を年末にかけて重要イベントとしてあります。今夜は「ECB理事会」になります。
今までのおさらい
日米欧は、日欧がアメリカの金融政策が変更する際にはその補完をして世界経済を下支えするのが量的金融緩和をする際の裏合意がある、ということは今までに何度もお話をしました。
一番いい例は、日本銀行が行った2014年10月末に行った量的緩和の追加はアメリカが「QE」の拡大を停止したときに行われ、また昨年12月も、日欧は金融緩和政策の若干の修正を行いました。
年明け、1月に日本銀行は「マイナス金利」を実行したのも記憶に新しいことになります。そうなると、ほぼ、アメリカの利上げが確実視されるのであれば欧州の金融政策決定会合も変化する必要性が裏合意によってあるかもしれない、と考えるのが通常の考え方ですが、しかし、この裏合意がいつまで有効なのか、という疑問も湧きます。
トランプ次期政権の構想
正直、毎日、毎日、減税の話ばかりでアメリカの財政負担はどうなるのであろうか、と他国のことながら心配になります。きょうもレパトリ減税を行うと明言をしましたが、減税分の税の徴収はどうなるのであろうか、と思います。
ただ、マーケットはそれを好感して株価は上昇しています。一回目の利上げでは、このような減税政策はオバマ自身が苦労して増税を可決していったのでマーケットの反応はまるでなしになります。
つまり、減税効果によって景気は上向く、去年までは減税などは選択肢になく、財政のバランスに必死の状態だったのですから当然の話になります。
つまり、利上げによってアメリカ経済に大きな減速がなくおそらく小幅な減速になるであろうということになります。そして、「GDP」世界第二位の中国は、去年の今頃は、もう不景気でアップアップの状態でしたが今は、ドル高、人民元安の構造で外貨準備は減っているとはいえ、好調になってくるのは目に見えています。ここで肝心なことは人民元安なら円高、円高であれば韓国ウォン安になりますよね。
世界経済の観点からいえば、ドル高は歓迎すべきことになります。しかし、レーガン政権も発足当初に大判振る舞いをしてハネムーン期間に株価は好調でしたがのちに有名な、双子の赤字によるレーガノミクスがスタートするのです。
その間に「プラザ合意」もあり、急速なドル安になったことも忘れてはなりません。ここの整合性をどう読むかによって判断は分かれますが、ドル高などは長くは続かないのは明らかですよね。
利上げをしたら経済は減速しますし、今のドル高状態であれば、新興国から資本が流出してまた、世界経済が不安定になります。
肝心なことは
以前から私が、書くように、国の国内総生産順リスト (為替レート)
ここから基準値をだせば、ユーロドルは割高状態というのがわかると思います。
今夜の結果はわかりませんが、ユーロ安なら、ドル高、ドル高は人民元安と新興国からの資金流出が行われるということになります。ただ、イギリスポンドが異常高状態を脱した分、ユーロが割高になると考えるとユーロドルが1.1くらいを目指す展開となると考えます。
ユーロ高、ドル安という構図であればアメリカ債券価格が底打ちの値動きであるように、円高になります。ユーロの打開策を講じるのであれば今夜、金融政策を変更したほうがいいという思惑は「ECB」には働くと思いますが、どうなのでしょうか?
参考までにドル円は70.77くらいが基準値になります。そこから59パーセントも割安な通貨がこれからもしばらく円安になるとはとてもではないですが言えません。どこで投機的に円高になるのかをみてみたいと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)