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週明けから為替相場にも大きな変動がるのではないかと注目された「イタリアの国民投票」ですが、あっさり否決が決まったようで、今回ばかりは騙しがないままに簡単に決着がついてしまったようです。
ただレンツィ首相が正式に辞任するかどうかは大統領の承認も必要とのことですから、簡単には決まらないようですが、ドル円も想像よりも下落が小さく、流れに変化はないものと思われます。
ドル円は転換線レベルに相当な買いを観測
本日の朝の動きでかなりはっきりわかったのは、ドル円の112.800円レベルに相当まとまった買いがあるということでした。
朝7時台に二回下値を見に行ったドル円は結局112.800円が割れないまま上に戻ってしまい、依然として113円台での底堅い動きになっています。ロンドンタイム以降再度下押しの可能性はもちろん残りますが、想像以上に下値が堅いことがあらためて確認された次第です。
一方ユーロドルも1.05レベルではかなり下値が堅い状況
ユーロドルのほうはもっと簡単に崩れるのかと思いましたが、相変わらず1.05レベルは堅いものがあり、簡単には崩せずに「ショートカバー」がでている状況です。
「BREXIT」のときも米国大統領選の結果のときも東京タイムだけが結構ひどい目にあったことからどれだけ動くのかと心配しましたが、とりあえ次の動きはこの結果を受けた当の欧州市場ということになりそうです。
オーストリア大統領選は親EU派のベレン氏が勝利
一方同時期に行われてあまり注目されなったオーストリア大統領選のやり直し投票は「緑の党」前党首で親欧州連合(EU)派のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン氏が極右政党「自由党」のノルベルト・ホーファー氏に勝利したことから、一定の安心を誘ったようです。
それにしても自国保護主義を訴えるような勢力が各国に登場するようになっているEUは2017年も多難の年となることは間違いないようで、来年の為替相場はまさにドルからユーロが大きなテーマとして動きを先導することになりそうです。
年末相場の材料はかなり絞られた状況に
11月末から危惧されたリスクイベントはひとつひとつ通過する形になっており、年末に向けての材料はここからどんどん減っていくことになります。
本来の相場状況から言えば市場参加者は大きく減少してどの通貨も激しい動きはでにくくなる時期ですが、今年に関しては年末ぎりぎりまで投機筋ががんばって売買をすることが予想されることから、逆に市場が薄いときに大きく買い上げられてしまうリスクを心配する必要がでてきています。
年末に向けてドル不足が顕在化
さらに年末に向けては相場の需給の問題もあってドル不足が深刻化しており、とくにドル円は調達コストも上がっていて簡単に下落しにくい状況が続いています。
こうなると投機筋にとっては上にもって行きやすくなることから、短期間に大きく上昇する危険性があることも理解しておかなくてはなりません。
ドル円相場だけで見ますと一旦ピークをつけたような印象もうけますが、まだ上げきった感じはなく、当面は下落したところで下値を拾い、あまり時間をおかずにしっかり利食いしながら回転させていくことで、不意の下げにも対応できるように積み上げていく方法をとることが賢明になりそうです。
こうなるとユーロも一方向だけに動かないことになり、ユーロ円が上昇するようなタイミングではドル円がつられて上方向に持ち上がると言ったまさかの展開も考えられ、注意が必要になりそうです。
今週も極力先入観を廃して流れについていく取引に専念していきたいと思います。
(この記事を書いた人:今市太郎)