多くの方が釈然としないまま11月の取引も終焉に向かっていますが、誰がどう考えてもなぜ11月9日トランプ勝利とともに相場が上昇し始めたのかの答えはやはりAIを実装した可変的取引が可能な「アルゴリズム」の仕業にそのヒントがあるようです。
機械学習やディープラーニングを実装したアルゴリズムか
「アルゴリズム」を利用した高速取引はすでに数年前から始まっており、これだけでも裁量取引とは異なる不可解が動きが多かったのはご存知のとおりです。
最近の「
アルゴリズム」は背後にAIを実装し、さらに可変的に相場状況に応じて売買を積極的に行うことができるようで、11月9日のトランプ勝利を受けて大方の「
ヘッジファンド勢」も株や為替を売りはじめた矢先にこうした「
アルゴリズム」がマーケットメーカー的な役割を果たして、相場を扇動しはじめたことから多くのファンド勢もドテンしてそれについていかざるを得ない動きが始まってしまったようです。
人の仕業であろうとアルゴリズムの仕業であろうと、一定の動きが示現して大量が売買ににより方向感が出てしまえば、その他の「
アルゴリズム」も即座に反応しはじめますから、今回のようなマユツバ相場も現実に起きてしまうことになるわけです。
もともとファンドの動きというのはこうした奇をてらうものが多かったわけですが、AIの実装でますます人が売買するFX市場を大きくかく乱するようになってきていることを痛感させられます。
間違った方向に動かしたAIのおかげで大損したファンドも存在
ただ、ここからが結構滑稽なのは、AIを実装した「アルゴリズム」取引でもトランプ政権誕生で相場が下落すると踏んだアルゴは株も為替も売っていて人間の裁量取引以上に損をしたという話が欧米系のメディアで散見されるようになっています。
AIを使ってもちっともうまくいかないプロの投資集団もいるということで、すべての「
アルゴリズム」取引が大きな利益を齎すわけではないことがあらためて理解できる話といえます。
まさに「
アルゴリズム」でも悲喜こもごもの状況が展開されている点は、個人投資家だけが取り残されてしまっているわけではないことを示唆しており、なかなか興味深いものがあります。
機械学習とディープラーニングはかなり異なる存在
AIというとなんでもひと括りにしてしまいがちですが、実は機械学習とディープラーニングとではその結果はかなり異なるものになるといわれています。
機械学習はその名のとおり機械に一定のロジックを与えて学習させて動かすわけですから、学習を指示してい人間の能力によってもその結果は異なるものになるようです。一方ディープラーニングは人間の脳神経をまねすることによってデータを分析しようとするもので、情報ひとつひとつに対する重み付けをすることで人が視覚、聴覚、文字情報などで多角的に判断するのと同じような高度が判断を行うことができるのが特徴となります。
現在FX市場で導入されているAIの機能が果たしてどのレベルまで実装されているのかはいまひとつよくわかりませんが、今回のような大方の市場見込みを大きく裏切るような動きを実際に現実のものとして相場を扇動することができるとすれば、これまでのものとはかなり異なる高度な仕掛けということができそうです。
ドル円がどこまで上昇するのかさっぱりわからないのも当たり前
こうした不可解なAIを後ろ盾として「アルゴリズム」が動いているわけですから、ドル円相場がどこまで上昇するかということを必死に考えてみてもさっぱりわからないというのもある意味でかなり理解できることと思えます。
24日、25日といった米国の感謝祭で市場参加者が不在の状態でも、「
アルゴリズム」は1時間に一回程度相場に刺激を与え、ドル円はとうとう113円を割らずに週を終えることとなっています。
しかもその上昇は米系ファンドの特徴をあらわすように暴力的なもので、こうしたアルゴリズムが勝手な理論で相場を吊り上げているのでは、動きの先行きがさっぱりわからないのも納得がいく状況といえます。
ドル円を含めてドルストレートは一旦調整局面に入っているようにも見えますが、NYタイムになるとまた大幅に値を戻す動きを見せており、我々が人間の感覚で調整局面と思っていることと相場の動きは異なっている可能性もありそうです。
とにかくあまり先入観を持たずに相場の流れをしっかりと確認しながら落ち着いて売買を進めていきたいものです。