今年は例年の半分程度の動きしかせずに、非常にぱっとしない印象の強かったユーロドルですが、トランプ勝利以降ユーロにも大きな変化が訪れようとしています。
昨年末に引き続き1.05割れを試す展開
今年は英国のEU離脱騒動もありましたから、大きく動いたように思えたユーロドルですが、実は9月まではほとんど例年の半分程度900PIPS程度しか動かない典型的なレンジ相場を継続させることとなりました。
しかしその動きに大きな変化がでてきたのが11月の米国大統領選で、一旦瞬間的に開票時に持ちあたったユーロドルは一環して下落傾向とたどっており大きなトレンドになりつつあります。すでに大統領選移行は明確に200日移動平均線を下回っているたけに戻り売りが強い状況となっています。
まずは1.05割れをトライか
すでに11月24日感謝祭で動きの少なくなる時期にユーロドルは、ドル円とともにドル買いを試す動きとなり1.05178と1.05割れまであと少しというレベルに下落しています。
昨年12月の「
ECB理事会」において追加緩和期待が高まったときにも、パリティに動くのではないかと期待されたのは記憶に新しいところですが、「
ECB」としては最大の緩和措置を行ったにもかかわらず、記者会見上「
ドラギ総裁」がこれにて打ち止めといった発言を行ったことからユーロが大きく買い戻されてしまって以来の下落となるわけです。
当面は2015年3月につけた1.04623を下抜けるかどうかが大きな注目点となりますが、これを抜けた場合には明確なサポートラインがなくなることから、いよいよ今年もパリティを目指す展開になるリスクが高まっているといえます。
折りしもイタリアの国民投票も実施というタイミング
12月4日にはイタリアの国民投票が実施されますが、これで憲法改正が否決されてば現行政権が辞職することから来年の総選挙でイタリアもEU離脱のリスクが急激に高まることからユーロは売られやすい展開になりそうです。
来年はさらにEU主要各国で選挙が開催されることから、為替市場でもユーロがテーマとなりやすく、上昇よりも下落に気をつかう時間帯が続きそうです。
さらにその後には12月8日に「
ECB理事会」が待ち構えていますが、こちらのほうはトランプ相場で世界的に長期金利が大幅に上昇する中で資産購入プログラムでの買い入れ対象債券が不足する、いわゆる弾切れ状態は解消することとなり、今回の会合では買い入れ規則の変更を調整する必要葉なくなっているものと思われます。
今回は一応引き続き来年3月以降も「
QE」の延長を行うことが打ち出されるものと見られることから大きな混乱はないと考えられますが、米国とのコントラスト上ユーロがさらに安くなる傾向は続くものと考えられます。
年明けに注意すべきはトランプ発言リスク
米国の政権移行期であることから、ほとんどドル高に対する要人のけん制発言も聞かれませんが、来年正式にトランプが大統領になれば、ドル高を明確にけん制する発言も登場することになるのは確定的であり、ユーロと円はその段階から軌道が変わる可能性も残されています。
ドル高傾向で多くの米国企業は利益が低下していますから、アメリカファーストを自認するトランプがこのままにしておくわけはなく、しかも財政出動などに比べればもっとも金のかからない政策となるのが為替に対するけん制発言ですから、就任早々に仕掛けてくる可能性は高まります。
したがって、ユーロも下落が進んでも1月20日以降には買い戻しのタイミングを見計らう必要がでてくることになりそうです。
トランプ政権の誕生で多くの通貨が影響を受けるようになっていますが、2017年はユーロはそうした影響とユーロ圏加盟国がかかえる問題のどちらが大きく市場に影響するかを試す年となりそうで、今年とはうって変わって変化の激しい年になりそうです。