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論理的にはもうひとつ納得がいかないままに上昇を続ける米国株と為替のドル相場ですが、一部のメディアや業界のアナリストなどは相場常識が変わったとかセンチメントが変化したと言い出しています。しかし個人的には本当にそうなのか？とかなり懐疑的にならざるを得ない気分です。
確かに相場は火柱暴騰の状態となっていますが、これは明らかに相場の上げを狙ったファンド勢の画策が功を奏しているようにしかみえず、動き出してしまった相場に周辺のプレーヤーが乗っかる形になって止めが聞かない「オーバーシュート」が進んでいる感が否めません。
ファンド勢はNYダウ2万ドル乗せを視野に入れている
困ったことに、この暴騰相場はいいところどりだけ取り込んでマイナス要因はすべて無視しながら価格を上げまくっている状態で、NYダウに関与しているファンド勢の見方としては1万9000ドルを超えた時点でさらに相場は走り、早ければ年内にも2万ドルの大台に乗せることをイメージしているようです。
つまりトランプが実際に大統領として動き出す前に、とにかく相場を担ぎ上げて利益を確保してしまおうという戦略に出ていることはどうやら間違いがないようです。
いまのところ具体的な政策についてはトランプが何も言わないからこそ相場は上昇しているわけですが、これが実際に就任が近づき、側近の体制も見えてくることになれば、今のような上昇状態が維持できるとは思えない状況です。それをもっともよくわかっているのが実はファンド勢なのではないかと思います。
NYダウがもう一発吹き上がれば日経平均とドル円にも影響か
ドル円も本邦の個人投資家の売りだまを利用して、112円方向へ持ち上げようとファンド勢が画策している話はすでにこのコラムでもご紹介していますが、NYダウがさらに暴騰し、日経平均もそれにつられて1万9000円超のレベルとなれば、再度ドル円も上昇を試す可能性があります。
また、感謝祭以降一旦落ち着いてもクリスマスイブの前や年上げに想定外の吹き上げを演じて終焉する可能性がまだ残されていることがわかります。
不本意ながら当面買いについていかざるを得ない状況
決して市場のセンチメントが大きく変わったとは思えないものの、相場がここまで細かいネガティブな状況を無視しまくって買いあがる相場では、ひとりで戻り売りで抵抗してもほとんど意味はない状態です。
まったく納得はいきませんが、あがる相場は仕方なく買いでついていき、利益を確保したところで大幅な下落のポイントを待つしかないのではないかと思い始めています。
上昇の様子に大きな変化がでるのはトランプ就任直後か
来年1月20日のトランプの就任以降は、これまで嘯いていた公約の何が履行できて、なにが欠落するのかも判明してきますし、トランプ自身が口を開くことでさまざまな問題がでてくることは間違いなく、一定の相場調整が示現することはほぼ間違いないものと思われます。
また為替についてもドル高をけん制する発言がいつ飛び出しても不思議ではありませんから、一定の調整が一気にでるリスクも考えておく必要があります。
なにより米国債の10年債利回りが3%を超えるような事態になれば、間違いなく株式相場の上伸は止まり、今度は逆に売り込まれることになりそうですから、どこで相場が正気を取り戻すかについてもしっかりウオッチしていく必要がありそうです。
ファンド勢のしたたかな演出が剥落したとき、今の浮かれ相場は手痛いしっぺ返しを食らうことになりそうです。それまでは用心深く利益の取れる方向についていくしかなさそうです。
ひとつだけ間違いがないのは、投機筋がこうやって演出した雰囲気相場はその勢いが冷めるときにはひどく下落するということです。たいした理由もなく上げているわけですから調整時の下落もかなり厳しいものになることだけは覚悟しておきたいところです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
