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市場最高値のNYダウと市場の利上げコンセンサスが支え
これまで株価が下がると体調が悪くなるとさえ噂されていた「イエレン議長」ですが、足元の至上最高株価とすでに90%以上の確率で織り込まれた12月利上げの材料を受けて、この12月ばかりは心置きなく利上げができることになりそうです。
Source Fed Watch as of 11/17
利上げで相場が崩れだす危険は依然として残存
今週、公的な場で発言をしたすべての「FRB」関係者はトランプ政権が誕生し、減税や財政刺激策が実施された場合の政策見通しを尋ねられ、だれもが実施内容不明確であるため確信をもてない旨の返答をしていますが、積極的な財政出動が「FOMC」における利上げ余地を広げる可能性についても示唆しはじめています。
しかし、利上げスピードが明らかに速まるとなればトランプ政権誕生で減税と久々の本格的財政出動を背景に浮かれ相場として上昇している株式市場も正気を取り戻せば嫌気する材料になるのは間違いなく、なにより新興国相場が大きく崩れだし、米国の外側から強力に「リスクオフ」状況が拡大するリスクも依然残されています。
これまで世界情勢を理由にして利上げを先送りしてきた「イエレン議長」ですが、結局のところは自国の株価と市場のコンセンサスだけ見て利上げするのかといわれても仕方ない状況になりつつあります。
更迭はなさそうだが、果たして本人に継続意思があるのかが問題
10月以来「イエレン議長」が持ち出してきている高圧経済の発想とトランプの経済政策は意外な親和性を持っているように見え、実はトランプがもっとも高圧経済による舵取りの体現者になる可能性が高まりつつあります。
しかし、個人レベルでイエレンとトランプに親和性があるかどうかについてはかなり疑問な部分もあり、トランプから仕掛けて更迭されることは当面ないにせよ、イエレンサイドが新政権のもとで議長を継続する気があるのかどうかが気になるところです。
トランプ政権を見事当てたジェフリーガンドラックは意味深発言も
10月の大統領選挙前にトランプ勝利を予想して、市場から嘲笑された新債権の帝王「ジェフリーガンドラック」は結局大統領選結果を正確に予想した数少ない運用担当者の１人となりましたが、同氏は最近になってトランプ次期大統領が経済成長を迅速に促進できるとの期待は薄れ、株式相場は「乱高下」に見舞われると発言して再度注目を浴びています。
トランプに対する期待が高まってもトランプが景気を急激に回復させる魔法の杖をもっているわけではなく、連邦政府プログラムの本格展開には時間が必要であるほか、住宅ローン金利の上昇や月々の支払い増加は中間所得層の心理にプラスにならない上、選挙で敗北したヒラリー・クリントン氏の支持者らはお金を使う気分でないとも指摘をしています。
当初トランプが大統領になれあｂ景気低迷と予想していたエコノミストの多くが手のひらを返したようにトランプ政権で成長政策が実施され株式相場への追い風になると言及していることにもまったく同意できないとしており、トランプ政権の政策効果が意外にもドラスティックに経済を好転させるとは見ていないところが興味深い点となっています。
減税が大好きな米国民はトランプ政権にかなり期待するようになっており、当面浮かれ相場は継続しそうな勢いですが、多くの投資家が正気に戻る過程で、債権金利と株価と為替の関係が正常な方向に戻ることになれば、米国の利上は市場にそれなりの影響を与え始めるリスクが高く、いまの株の高止まりがいきなり終焉する可能性についても意識しておく必要がありそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
