15日の為替相場のドル円はまたも続伸ということになり、とうとう明確に109円を超えるところまで上昇してきました。
テクニカル的には上方向が明確に続いてはいるものの、トランプが大統領になるというだけでここまで上げてくるのにはかなり無理があり、米国債の金利と米ドルの動きはトランプ自身の思惑とはかなり異なるものになりつつあることから、無理やり軌道修正が入るリスクの領域にさしかかってきています。
実需の売りも途絶え気味でストップロスも既についた状態
チャートでみますと、昨年11月につけた123.711円から降りてくる上値抵抗線にちょうどぶつかるところまでは上伸しましたが、果たしてこれを超えて今月110円にまで到達するかどうかが注目されます。
感謝祭まであと1週間ですし、ここからはよほどの燃料が投下されないと110円までは届かない感じがしてなりません。また冷静にみますとファンド勢がよく利用する週足の60日移動平均線を越えるところまでは行っておらず、トレンドが変わったとは言いがたい状況です。
金利上昇は間違いないがすでにピークはつけた印象
米国債の10年もの金利の推移を5分足で見ていますとさすがに2.3%を突き抜けていくほどの力はなくなっており、前回もこのコラムで書きましたがすでにいいところまでは戻した感があります。
確かに債券は売られているから金利が高くなり株式に資金が依然とした流れ込んでいるのは間違いないようですが、どうも見ていますとNYタイムに向けてドル円は「アルゴリズム」も暗躍して毎日「オーバーシュート」気味に上値を試しているように見え、人の裁量取引を越えた勢いを感じざるを得ません。
「アルゴリズム」主体の取引が為替に蔓延するようになってから、どうしても「オーバーシュート」気味の動きになりますが、この数日我々はアルゴの動きを予想しているに過ぎないような気分になってくるのもまた事実です。
実需の売りもかなりこなしストップロスもほとんどつけた状態
109円を越えた段階で、それまでにびっしり置かれていた実需の売りも一定技量こなし、しかも戻り売りのストップロスもほとんどつけた状態で、ここからは新たな売りが出るレベルまでは自力で強引に買いあがらないとこれまでのような上伸力を維持することができないのもまた事実です。
昨日からすでに東京タイムでは一息ついて利益確定売りもではじめていますし、気がつくとすっと下落する場面も多くなっていますが、下値を買い支える向きも依然として多いことから大きくは下がらない状態です。
しかしこのレベルから順張りで買いによりついて行った場合、かなり取り残される可能性が高く、迂闊に買い下がると損切りを余儀なくされるリスクも考えなくてはなりません。
連日押し目買いに押し目なしの状況が続いていますが、あせらずに少し相場の様子を見ながら待ちの姿勢をとることも重要になりそうです。
相場の上昇局面ではポジションをもっていなかったことが非常に大きな損をしたような錯覚に陥るものですが、ここからロングでエントリーしてもドル円なら110円の手前で上値と抑えられてしまいますとほんの50~60銭をとりに行くだけの作業をしているに過ぎないわけですから、上げ渋ったところを売るか大きく下げたところで改めて買いなおすほうがよほど効率がいい取引になるということも意識しなくてはなりません。
昨日ご紹介した「ドルインデックス」はすでに100を超える水準になっており、昨年までの高値に急接近しています。
つまり、よほどの材料がないとドル自体はここからさらに大きく上げる状況にはないことは明らかですから、相場としては一旦調整が入ることを警戒すべき時間帯にさしかかってきていることがわかります。
トランプ勝利から思わぬ大相場が展開することとなってしまいましたが、これは自然現象のように示現しているのではなく、だれかが動かしているからこうした方向に動いているのは間違いなく、その動きが止めば結構な勢いでもとに戻りそうな気配です。
上げた相場にはかならずおしまいが待っていることだけはしっかり意識してトレードしたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)