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米連邦捜査局(FBI)のコミー長官は6日、米議員に書簡を送付し、ヒラリー・クリントン氏の国務長官当時の私的な電子メール使用が犯罪に当たらないとの結論に変わりがないことを明らかにし、オセアニア時間で既にドル円は104.32円レベルまでつけている状況です。
同長官はクリントン氏のメール使用と関連がある可能性がある新たなメールを調査していると10月27日に議会に通告して以来、「FBIの調査チームが24時間体制で」対象物を「調査してきた」と説明しているようで、調査の結果、クリントン前国務長官に関してFBIが7月に表明した結論は変わっていないという内容が公表されたためドルはほとんどの通貨に対して上昇しています。
FX投資家にとっては実に迷惑な話
もともと共和党支持者が多いといわれるFBIの要人ですが、コミー長官もそのひとりで、ヒラリーよりトランプの肩をもつかたちとなってしまったコミー長官の発言で一時的に大きくヒラリーの支持が下がったことだけは間違いありません。
ただ、今回の声明が選挙前に出たことでさらに形成逆転の可能性もでてくることになりそうで、ここからは相場に無理して参加してもたいした利益にはありつけそうもなくなってきてしまいました。
市場ではFBIが8日までにさらにネガティブな捜査結果を出すのではないかという憶測もあり、リスクを冒して売りポジションを保有したままだった投資家の方も多かったのかもしれませんが、朝起きてびっくりのストップロスで呆然とされていることと思います。
まあここから上昇しても10月の高値の105.50円レベルが精一杯で、大統領選挙結果をめぐってはそれでもまさかのトランプ勝利がないかぎり、いきなりたいしたものではなくなった感があります。
大統領選ネタの賞味期限はさらに短くなった?
これでヒラリーの支持率が回復し、順当に地すべり的勝利をもたらすことになれば、相場はこれまでの下げを回復することになりますが、過去の米国大統領選における候補者の地すべり的勝利では6回とも選挙結果から3ヶ月以内に株価が崩れており、相場の上がったところはいい売り場になる可能性もでてきています。
いずれにしても今回の大統領選挙はこれまでになく候補者自身が様々な問題とかかえている点が過去の選挙と大きく異なり、これまでの「アノマリー」もほとんどうまくワークしていない状況です。
思い起こせば6月の「BREXIT」の投票終了時も英国離脱回避という見込みが報道されて大きく買い上げられたポンドはその後の結果で奈落の底に落ちていますので、ここからはまさかのトランプ勝利で相場が下落したときのための仕掛け一本に絞って結果を待つのもひとつの方法といえそうです。
超大国の大統領選としては実にくだらないプロセス
大統領選に絡んでFXで利益を出そうと思っているものが悪いのかも知れませんが、今回のヒラリー・トランプ騒動は実にレベルが低く、しかも選挙終盤に登場するおよそ候補者にはそぐわないと思われるような内容の登場も登場し、為替相場にとってはなんら喜ばしいことのない1ヶ月間となってしまいました。
FBIという組織も映画では実によく登場する存在ですが、その内容をトレースするかのようにかなり政治的な組織で、中では足の引っ張り合いが行われるということも今回よく理解できました。
あと二日もすれば選挙結果が明らかになるわけですが、大山鳴動してねずみ一匹ということになりかねない状況で、ここからは一旦静観して9日が終了するまでは相場に係わらないのもひとつの見識ではないかと思います。
ドル円のテクニカル的なポイントは99.50円を下抜けするかどうか
一旦政治的な分析を置いておきますと、ここからドル円が何かの材料で100円を下抜けするのかどうかに注目しておきたいと思います。
足元ではこうした状況が示現するのはトランプ勝利しかなくなってきていますが、100円を明確に下抜けますと99.50円がサポートされるかどうかが注目されます。
これが簡単に下抜ける場合には、95円方向まで「オーバーシュート」することが容易に想像できますが、ここは絶好の買い場になることが考えられますので、もはやこの点だけに絞って売買をしてみるのも面白いかも知れません。いずれにしても脱力感の高まる週明けの市場です。
(この記事を書いた人:今市太郎)