27日のNYタイム、やはりファンド勢が買い上げると思ったところ案の定無理やり105円台に載せて来たドル円相場ですが、ここからは105円台に定着してはいるものの、果たしてどこまで上がるのかが大きな注目点になりつつあります。
週末を控えて28日のNYタイム105円台中盤まで「London Fix」で吹き上げたドル円は、その後利益確定などもでたのか下げ始め、米連邦捜査局(FBI)が米民主党大統領候補ヒラリークリントン氏のEmailに関する捜査を再開したという報道をきっかけに1円以上の下げを見せることになりました。
また「OPEC」の減産交渉もうまくいかないのではないかとの見かたが広がり、こちらもドル円の下落材料となっています。
「リスクオン」と思えばすべての材料が上昇支援要素に見えてくるものですが、冷静に考えると足を引っ張る「リスクオン」の要素は数えきらないほど揃ってきており、本当にここからさらにドル円が上昇するかどうかを見極めるのがなかなか難しいところにさしかかってきています。
フィボナッチで確認してみると・・
こういうときに活躍してくれるのが「フィボナッチリトレースメント」ということになりますが、今年の下落が始まる前の高値であった昨年11月の最高値の123.711円と今年に入ってからの最安値の98.450円を結んだ線の38.4%戻しが108.029円で、最安値が99円の場合にはもう少し上になりますから、概ね108円台後半まで戻せばかなりいい線ではないかと思われます。
これは昨年の6月の最高値である125.852円と今年の最安値を結んでみてもそれほど大きく変わるわけではありませんから、ざっくり109円以下のレベルまで戻れば上出来という感じに見えます。
週足で見ると依然上昇の目
週足で見ますと26週移動平均の104.10円レベルと明確に抜け、28日NYタイムのクリントンメール報道の下落でもこのレベルを下回らずに反転して終わり値を維持していますから、依然上方向に跳ねる可能性はしっかり残していることがわかります。
ただ、ファンド勢がよく見ているト言われる60週移動平均の緑のラインから見ればまだかなり下に位置していますから、下落トレンドの中の戻りを試しているだけですから、トレンドが変わったというほど大げさな話でもないこともまた事実です。
ヒラリーメール報道でいとも簡単に1円下落する相場
さて、今週末はドル円の買いで含み益を上げていたトレーダーの方々もしっかり利益確定して逃げ切ったのであればハッピーでしょうが、さらに週明けの上昇を期待してそのまま持ち越すつもりでポジションキープをされていた方々は、ヒラリーメール報道であえなくストップをつけてかなり怒っていらっしゃるのではないかと思います。
ひとつ、強い教訓として考えておかなくてはならないのは、大統領選に関してはまだリスクが伴っているということです。
冷静に見ればトランプが勝利する可能性は日に日に下がってきているといえますが、問題発言満載のセクハラ低人格候補と、国家的犯罪を犯したかもしれない国務長官経験者の現役上院議員とでは問われている問題を同じまな板の上で判断するのはかなり難しいことも考えておかなくてはなりません。
今回のFBIの捜査でも一部のアンチヒラリー層が嘯くように、11月8日までにヒラリーが逮捕されるといった劇的な事態にはならないと思いますが、ここからはネガティブな報道が出たり、ウィキリークスが追加でなにかを公開してくるたびにこうしたわけのわからない1円下落程度のリスクは常に付きまとうことなりそうでです。
最終的にドル円が上昇したとしても、その間に何度もストップをつける損失を食らうことになるとディールを行う妙味に著しく欠ける相場になりかねないのはなかなか辛い状況です。
また、トランプは選挙に負けても法的に選挙の中身をめぐって訴訟を起こすという説も出回りはじめており、選挙が終わったからすんなり大統領が決まらない可能性もあり、ドル円は事ある毎に下落のリスクに見舞われる可能性がでてきています。
大きく戻りを試そうかという矢先に、四六時中も戻り売りをして下落リスクに備えるのもかなり難しいものがありますが、上げても下げてもあまり欲張らずに一定の利益がでたらリカクして確実に利益を確保することに専念するのが一番確実な売買になりそうです。
ここから11月にかけてはさらに難しい相場展開が続きそうで、断定をせずに柔軟に乗り切っていくことを考えるべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)