日本で、日本円を使って生活していると、あらゆる資産を円建てで保有することに抵抗がないかもしれません。しかし、日本の財政状況を考えると、「ハイパーインフレ」が起こって円の価値が暴落する可能性も否定できません。
そのため、円だけでなく、米ドルといったほかの通貨にも資産を分散させておくことが望ましいです。
IMFの通貨バスケットを参考にする分散方法
「通貨分散」と言われても、どんな通貨を、どのくらいの比率で保有すればよいのか迷ってしまいますよね。そこで、参考材料として、「IMF」が設定している「通貨バスケット」を見てみましょう。
「IMF」の「SDR」通貨バスケットは、人民元が新たに加わって、米ドル41.73%、ユーロ30.93%、人民元10.92%、円8.33%、英ポンド8.09%となっています。「基軸通貨」の米ドルと、ヨーロッパの多くの主要国で使用できるユーロの比率が高いことがわかります。
もっとも、日本で生活している以上、日本円を使う機会がほとんどですので、「通貨バスケット」よりは円の比率を多めにするべきです。参考にする方法としては、外貨建てで資産を保有する場合は、米ドル建てやユーロ建てのものを多めに保有し、人民元や英ポンドにも目配りをすることですね。
人民元建ての資産は投資先が少ないほか、為替手数料も高めですから、無理に人民元へ通貨分散しなくてもよいでしょう。
基軸通貨ドルを重視する分散方法
通貨分散を考えるのは、日本だけではなく、グローバルに世界経済を捉える場合です。そう考えると、「基軸通貨」である米ドルを多めに保有すべきではないか、との考え方もできますね。
米ドル建ての資産へは、外貨預金のほか米国債や社債、各種の「ETF」など様々な投資方法があります。外貨預金は為替変動リスクや手数料を負担するわりに利率が低いケースが多いので、個人的には高配当の「ETF」などに投資してはどうかと思います。
ただ、債券や株式、「ETF」への投資は、為替レートの変動以外の部分について理解しておく必要性があります。こうした分野に精通していないならば、予想外の損失を被ることがないよう、低レバレッジのFX取引を活用してみましょう。普段からお話することの多い、ローリスクのFXをうまく活用してくださいね。
今後の成長性を意識した分散方法
いざ通貨分散について考えると、円やドル、ユーロ、英ポンドといった主要先進国の通貨は頭に浮かんでも、新興国通貨があまり出てこないのではないでしょうか。
確かにNZドルや豪ドルといった、高金利通貨とされている通貨への投資も世の中ではそこそこ行われているのですが、通貨分散≒リスク低減について考えるとなると、どうしても新興国を敬遠してしまいがちになります。
しかし、新興国の高い成長性や、主要先進国の経済が密接にかかわりあっていることを考えると、新興国通貨を完全に無視するのは得策とは言えません。
高成長の恩恵を受けそこなう可能性が出てくるほか、先進国が共倒れになった場合の影響が大きくなるからです。FXを行えば、ブラジルレアルやトルコリラといった新興国の通貨にも投資できます。
これらの高金利通貨はインフレ率の高さを反映しているだけ、というケースがあるので高金利(スワップの多さなど)に目を奪われすぎてはいけませんが、新興国通貨への投資も少額からでよいのでしっかり検討したいですね。
通貨分散はリスクヘッジに役立つ
資産の通貨分散を行うことは、リスクヘッジに役立ちます。特に、日本は財政状況が悪く、消費増税の先送りや社会保障費の増大によって、財政破たんするリスクが高まっています。
万一日本の国家財政が破たんし、日本円の価値が暴落した場合でも資産がすべて吹き飛ぶことのないよう、「基軸通貨」米ドルを含めた適切な通貨分散を行っておきましょう。もちろん、日本が破たんせずとも、他国の経済発展や投資商品の利回りといった恩恵を受けるチャンスも生まれますよ。