大きく期待した割にはたいした動きにはならず、ほぼ事前の想定どおりになってしまった為替市場のドル円の動きですが、11月の米国大統領選挙の結果までは大きく動く材料を失ってしまった感があり、上昇するとも思えないものの、ここから大きく下げる感じも見受けられないのが実情になってきています。
ヘッドアンドショルダー形成ならば狭いレンジが長期間継続か
ドル円の日足相場を見てみますと、2014年に長く続いた膠着の左肩を抜けて2015年に形成された上昇部分がヘッドになり、ここからは「ヘッドアンドショルダー」の右肩が形成されるようにも見えます。
左右対称が基本となるのであれば、ここから最大半年近くは比較的狭いレンジでずっと推移する可能性もでてきており、大きな下落は来年以降に先延ばしということも考えておく必要がありそうなチャートに見えます。
実際既に23円以上年間で動いてしまったドル円ですから、市場参加者の興味が薄れつつあることも事実であり、当面この右肩部分がどのように形成されるのか、あるいはショルダーにならずに下方向に突き抜けてしまうのかが大きく注目されるところです。
99.500円を明確に抜けてくると様子が変わる可能性
チャートをよくよく見てみますと、6月の「BREXIT騒動」で99円割れまで一時的に突っ込んでから、8月以降ほぼ毎月99円台を見ては戻るというレンジ相場をくりかえしています。
6月24日の場合は「
オーバーシュート」気味に99円割れまで突っ込みましたから瞬間の動きであり、ほとんどこのレベルで売買のできた市場参加者はおらず、その後の相場の下値となる99.500円を抜けることができるのかどうかが大きなポイントになりそうです。
また上値も切り下げる動きが続いており、週足の終値で105円を超えてくるとこちらもかなり状況が変わることになります。
膠着を打ち破るのはこれまでにない材料の可能性も
今のところ、このドル円の膠着を打ち破るのは米国大統領選挙でトランプ勝利というのがもっとも可視化されているネタになっていますが、それ以外にもどうも様子のおかしい「ドイツ銀行」起因の破綻騒ぎや米国の株式市場の大幅下落など、足元では確認できないネタが急浮上して相場を揺り動かす可能性についても慎重にチェックしていく必要がありそうです。
ちなみにトランプ対クリントンの一騎打ちテレビ討論会は以下のようなスケジュールで進行することになり、毎回その結果を受けて支持率の推移も登場することになりますから、多少の時間のずれはあってもその都度為替が反応することになりそうです。
・9月26日:第1回テレビ討論会
・10月4日:副大統領テレビ討論会
・10月9日:第2回テレビ討論会
・10月19日:第3回テレビ討論会
・11月8日:一般有権者による投票および開票
このテレビ討論会は、過去にごらんになった方ならご存知の通し、相手方をこき下ろすのが主たるものであり、政策をしっかりと語って視聴者に理解を得るというものとはかなり異なるのが大きな特徴です。
したがって見かけの問題や話の仕方などおよそ候補者の本質とは関係ないところも評価されやすいことから、トランプが優位に見えるような動きになってくるとかなり状況が変化する可能性があるといわれています。
10月はほぼ毎週のようなスケジュールですから、相場も上下するリスクは高まります。またその一方で各選挙区では選挙人の数が問題になりますから、必ずしも末端の有権者の支持率が大統領選に直接的に影響を与えない部分もあり、なかなか微妙な状況といえます。
この過程でクリントン巻き返しが鮮明になれば大統領選挙は少なくともドル円には大きな影響を与えなくなることも想定され、依然として「ヘッドアンドショルダー」形成説も残ることになりそうです。
ドル円相場は一旦はイベントを消化してここから先どう動こうとしているのか見えにくくなってきていますが、必ず相場を動かすテーマがはっきりしてくると思いますので、それまではあまり無理をせずレンジ相場を基本にした売買を心がけるようにしていきたいものです。