さて、これを書いている最中、ドル円は101.1-2で推移をしているのですが、ナンピンで買っているのですが、さてはてどうであろうと思います。
心の片隅にイギリス離脱問題と状況が違うということもありますが、やはり「ボラティリティ」、変動率が甘すぎるということがあります。
私はセオリーからいえば、ここから円安になると思うのですが、一応、本日の理論値、ドル円は99.5円くらいになります。きのうが99.1円くらいでしたので若干円安になりますが、まだまだ非現実的な数字かな、とは思います。ちなみにこの理論値は毎日変動します。
日銀の新金融緩和方針
2014年10月に追加緩和の名目は「原油価格が一時的に下がって、以降、原油価格はまた上昇するので補完的な意味合いで緩和を行う」という名目で追加緩和を行いました。
しかし、今回の内容というのは「企業、家計において長期間、物価上昇があるとは考えていないというマインドが物価上昇を損ねている」というなんとも非科学的なコメントに変わっただけです。
その上、物価は恒常的に年2パーセント上昇するまで緩和を続けるというものです。先ず、原油価格については以前からずっと説明をしていますが、原油価格はドルの値段に支配をされているのであって需給なんか関係ない、ということです。
あえて需給で考えるとすれば、やはり「シェールガス革命」になります。20世紀の後半から21世紀の前半に起こった経済的な革命を考察すると、みなさんが一番ご存じだと思いますが、インターネット革命、情報革命、これは今でも進化をしていますが、主に、家電製品や工業製品の価格の下落を招いたのです。
ですから日本のシャープを筆頭にパナソニック、東芝が次々に業績不振や不正が明るみになったのです。つまり物価を押し下げる効果があるのです。
グリーン革命は、地球温暖化が代表選手ですが、実際はバイオテクノロジーを使った種子革命です。これによって穀物の値段、食糧の値段が劇的に下がったのです。
それで、「シェール革命」が起こって物価があがるなんて不可能ということに気づいているか、否かという、点は不明ですが日銀は気づいてはいると思いますが、軽視し過ぎだと思います。
そういった部分において消費の大部分を占める光熱費やエネルギー価格はまだまだ下がる可能性があるのにまだ、物価上昇を目指す、というアホなことをやっているのです。
つまり、物価を上げる具体的な方策が何もない中で物価よ、上がってください、と神風特攻隊みたいなことをやっているのにすぎません。物価を上げるための方策が具体的に出てこない限り、日銀の試みはずっと失敗するでしょう。
なぜ円高になったのか?
日銀の声明では、長期金利、標準物10年をゼロに誘導して、短期国債、1年以内のものをマイナスを維持すると表明をしています。
つまり1年物の「国債」金利がマイナスであれば、日本の稼ぐお金にその1年物金利を常にマイナスしなければいけないのです。
つまり長期国債をゼロに誘導しようとすると、「GDP」の基準の1年物国債の金利がよりマイナス幅が拡大するであろうという思惑があるのです。だから円高になるのです。
つまり、明確に円安軌道にのるためには「マイナス金利」以上に物価上昇や、「GDP」成長がないといけないのですが、政府発表の「GDP」が0.7成長しているのなら本来は円安にならないといけないのに、円高になるのは、日本政府のGDP数字を誰も信じていないということなのです。
物価のマイナスにはきちんと反応をしますよね。だから今、政府内で経済指標の見直しが測られているのですが、より一層インチキな数字になる可能性が高いとは思いますけどね。
為政者が自分の国の成長が、実際はもっと低いときにその改革をするとはとてもではないですが思えませんよね。
頼みは企業物価
8月の企業物価は先月よりも0.2ポイント改善しました。企業物価は消費者物価の先行指数になりますからこれがダウンとトレンドをひっくり返し、底ねり、反転上昇になれば為替は円安になると思います。
(この記事を書いた人:角野 實)