22日朝3時に発表された米国「FOMC」の政策決定は大方の市場の予測どおり、利上げ見送りとなりましたが、「イエレン議長」は年内一回の利上げの可能性を強調し、引き続き利上げ見込みを継続させる発言に終始しています。
今回は日銀、「FRB」と二つの世界的に注目を浴びる「中央銀行」の政策決定会合がほぼ同日に開催されることとなりましたが、ドル円でいいますと動きは両方合わせても2.4円程度であり、これまでの日銀会合後の動きなどから考えればかなり小幅な値動きに終始した感もあります。
大山鳴動してねずみ一匹といった感はまぬがれませんが、ここからはいよいよ米国大統領選にテーマがシフトすることになりそうです。
日銀の発表内容は緩和でないことが海外勢にモロばれ
21日13時過ぎに発表になった「日銀の政策決定内容」は、多くのメディアが緩和と伝えましたが、実は枠組みの発表だけで、金額的にもなんら緩和の内容が盛り込まれていませんでした。
しかし銀行がかなり利益的に救済されそうであるという見込みから買上げられたことでドル円も102円70銭台まで買上げられてしまい、一瞬上向きに動くのかと錯覚した投資家が102円台を買ったことからその後102.300円レベルから下落し始めたところで切らされることとなり、ドル円はあっさり101円台へと下落してしまいます。
その後の市場でも円買いが進むこととなり、なんと「FOMC」は100円台後半で迎えるというかなり低い発射台からのスタートとなりました。
米国の利上げがないのはかなり事前に織り込まれてしまったため、大きく売り込まれずにいますが、海外勢からは日銀の政策内容が必ずしも緩和拡大ではなく、むしろ見方によってはイールドカーブの調整を口実にしたある種のテーパリングとも受け取られているようで、決して緩和措置でないことを見破られたことから、ここからのドル円は売られやすい動きになりそうです。
米国の年内利上げは依然不透明
「イエレン議長」は毎度お馴染で年内利上げの可能性を強調していますが、「トランプ」が大統領といった、すでにまさかではなくなりつつある事態が11月に決定してしまいますと、そもそも利上げ自体を断行できるかどうかわかりませんし、年明けにはトランプ政権のもとで利下げすら行われる可能性もあり、そもそも「イエレン議長」がいつまで議長を務めるかというところから、状況が変化するリスクもあって、現時点ではまったく不透明になったといえそうです。
「FOMC」のたびに発表されるドットチャートもほとんど当たったためしはなく、今年の初めには年3回程度の利上げが見込まれていたわけですから、既に1年近く経過しても2回目の利上げすら実現しないという点では全くあてにならない予測表であることが改めて認識できます。
中銀の政策決定が市場に威力を与えられなくなりつつある
9月21日の2つの「中央銀行政策決定会合」は今年後半のきわめて重要なイベントとして位置づけられ、それなりの注目を浴びてきたはずですが、実際蓋を開けて見ますと、日本株もドル円も特別大きく期待から買われることもなく、想像以上に地味であまり注目されてこなかった印象が非常に強くなりました。
22日は秋分の日の休日でお休みですから、ここからさらにドル円が下落するかどうかが注目されますが、ひとまずこれでドル円を買上げる材料は見あたらなくなりましたから、またしても下落方向に気を使うことになりそうで、その決定的な下落を引き起こすことになりそうなのが米国大統領選挙になるものと思われます。
全体的に「中央銀行」が実施する政策決定会合結果があまり大きく相場を振らさなくなりつつあるようで、特に日銀のほうは必死に役人が作文をして、手詰まり感がでないように工夫したことが市場にばれているのではないかとも思える反応になっているのが気になります。
(この記事を書いた人:今市太郎)