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市場は「日銀の政策決定会合」と「FOMC」がどうなるかという21日のイベントネタで持ちきりですが、少し俯瞰から先を見通してみますと、いよいよ今月26日から大統領候補のテレビ討論会が開催され、クリントン対トランプの一騎打ちがスタートすることになります。
選挙スタッフ入れ替えでまともになってきたトランプ発言
8月に選挙スタッフを一新したトランプ候補のほうは、それまでのアドリブ主体で何を言い出すか判らない発言方法から原稿を覚えて読み上げるようなやり方に変えてきていることから、かなりまともになり、それにあわせて支持率も上昇傾向にあり、9月に入ってからは多くの世論調査で両者の支持率が拮抗し始めているのが現状です。
さらに９・１１の追悼イベントでふらついて健康問題が浮上したクリントン候補のほうは目が回るような映像が登場したり余命一年報道が出たりで、興味本位の日本のワイドショーも顔負けの情報が飛び出してきており、26日のテレビ討論も議論の内容そのものよりもクリントンが元気なのかを確かめるイベントになりそうな状況です。
とくに米国の場合、大統領は見た目が非常に重要と言われ、クリントン候補が憔悴しきった印象を視聴者に与えてしまうと、さらにトランプ有利となりかねず、ここからは米国民の反応を探る動きが金融相場でも続くことになりそうです。
トランプ勝利でダウ暴落という予測も飛び出した
ウォールストリートの金融市場がトランプの勝利をまったく織り込んで折らず、９・１１のクリントン健康問題の報道が出てきたことで株が売られたことは厳然足る事実です。
トランプの政策自体は実行可能かどうかを別にすれば、低金利続行に財政支出増大、雇用拡大などを謳っており、表面的、あるいは一時的には政権スタート段階で株価が大きく買いあがる可能性もあり、大統領選の結果を受けて瞬間的に相場が下落しても絶好の買い場になることも予想されるだけにメディア報道だけを妄信するわけにもいかなくなっています。
今年6月24日のBREXITにおいても、もはや英国経済はお仕舞いといった報道が出て、国内ではテレビのワイドショーまでが騒ぎ立てましたが、かれこれ3ヶ月経った英国市場は全く影響がなかったとは言わないものの、一部のエコノミストの予想とは逆の動きを継続しており、こうしたメディア予測というのは必ずしも当たらないことを示唆しています。
ドル円については支援材料なし
ただ、ドルについてはやはりトランプ勝利で売られることは間違いなく、しかもどちらの候補もドル安を志向しているだけに、何が起きてもここからは円高になる可能性が非常に高まることになりそうです。
9月21日に「FOMC」が利上げをする確率は恐ろしく低くなっていますが、ここで利上げを見送り11月にまさかのトランプ勝利が確定してしまいますと事実上今年の利上げはなくなる見込みでこの部分だけとってもドル円は上昇力を欠くことになってしまいます。
恐らく「FOMC」以降はこの大統領選の思惑で相場が上下することが予想されますが、それよりも先に米国の株式市場が大きく下落する余地も残されており、どのぐらい大統領選挙が相場に影響を与えることになるのかしっかり見極める必要がでてきています。
トランプ候補については大統領としてもやれそうだという意見とは別に、不適格者がとうとうここまで上り詰めてしまったという危機感を抱く発言も多く、実際にどうなってしまうのかを今から予測するのは非常に難しくなっています。
しかしこれだけ不適格そうに見える人物が支持率でクリントン候補と互角かそれ以上ということは、こうした候補者を登場させてしまったことが、民主党オバマ大統領の責任であることは間違いなく、トランプ大統領の登場はもはやまさかの事態ではなくなりつつあるともいえます。
それだけに市場がしっかり織り込んでいけば事実で大きく売られることは回避できる部分もあり、ここからの相場を正確に占うのはなかなか難しくなっています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
