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市場はテーパータントラム開始寸前の状況か?

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FXの取引をしておりますと、金融市場はとにかく21日の日米の金融政策決定会合の結果に異常に注目しては思惑や憶測報道から相場を上下させているように見えますが、先週の金曜日9月9日あたりからいよいよ米国でも本格的に株価が下がり始め、ちょっとその様子が変わってきたことがわかります。 
出展 StockChart
週末一旦戻る気配を見せたNYダウですが、すでに下方向を追うような地合になっており、債券も売られるが株も売られるという形で、世界的に債券金利が上昇するという、昨年の春先にも見られたテーパータントラムの兆候が見え始めている状況です。
市場の多くの主要投資家は現金比率を高める動きをはじめているようで、すでに多くの資金が相場から引き上げられていることがわかります。

日銀のスティープニング実施報道が市場の嫌気を誘っている

実はこうした市場の動きのきっかけとなっているのが、日銀の21日の追加緩和の観測報道の内容なのです。

マイナス金利」の深堀とともにあまりにもフラット化してしまった「イールドカーブ」を「国債」の買い付けの調整によって短期金利を下げ、長期金利を上げる「スティープニング政策」を行うのではないかという報道が、結局のところ長期金利および超長期金利の買入れ額の縮小につながり、これが事実上のテーパリング(緩和縮小)につながるのではないかといった憶測を招くきっかけになっているようなのです。
同じ日経新聞の観測報道もFXの世界の人間と債券に精通した人間が読み込むとその想像内容はかなり異なるようで、何も発表されていない足元の段階からかなり市場に大きな影響を与えている状況です。

世界的な金利上昇は市場が財政出動の足音察知の兆候か

Photo Reuters
このコラムはお馴染みの新債券の帝王「ジェフリー・ガンドラック」は現在来日しているようですが、13日のみずほインベストメントコンファレンスの講演に登場し、世界的な金利上昇が起きつつあるとの見方を示しています。
さらに日本と欧州における「マイナス金利政策」の失敗を教訓に政策の軸足が金融から財政にシフトしようとしているのを市場の一部がいち早く察知しているからであろうと推測しており、マーケットに絶対はないとも警告を発しています。
金利は永遠に低いままで絶対上がらないなどと言われるが、金利上昇が現実に起きつつあり、最近の市場をよく観察すれば、現にドイツ、日本、米国と金利は静かに上昇しているとも指摘をしています。
FX市場では日銀と「FRB」の政策だけに目が行ってしまっていますが、実際に相場はそれよりも前倒しで変動を始めているという点に大きな注意を払うべき時間に差し掛かってきているというわけです。

債券も株も金も原油も想定以上に下げる可能性

9月というのは歴史的に見ても米国の株価は下げやすくなりますが、すでに「FOMC」も「日銀の政策決定会合」も待たずに相場が動き出している可能性に注意が必要となり、21日の結果を受けてさらにその動きが加速する危険性があることも理解しておくべき状況のようです。

ここ2~3年市場は「中央銀行」が緩和を継続することを半ば当たり前のように見てきているだけに「ECB」が9月の政策決定会合でなんら緩和策を出してこなかったのも嫌気していますし、21日の日銀の発表で市場から見て緩和には見えないような施策を打ち出した場合には、猛烈な失望売りで手荒い歓迎を受けるリスクも想定しておく必要がありそうです。
個人的には、21日までは思惑で上げたり下げたりするのが相場状況だと思っていましたが、実は債券も株の市場も走り始めてしまっている点が非常に気になるところです。
為替相場だけを近視眼的に見ていますとよくわからない兆候ですが、あきらかに市場では地殻変動が始まっていることを感じます。
9月15日はリーマンブラザーズ破綻(リーマンショック)から丸8年という日に当たりますが、あまりいい気分のしない週末がやってこようとしています。
(この記事を書いた人:今市太郎
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